山本ゆき
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あすなろ峠 – 山本ゆき
寒さ残した暦(こよみ)の裏で 春が出番を待っているがまん辛抱(しんぼう) 時節(じせつ)が来れば わたしの人生夢の花も咲くあせらず一歩一日一歩 あ…挫けずに上(のぼ)るこの坂あすなろ峠 苦労くの字に仰(の)け反(ぞ)る背中 人の情けが突(つ)っかい棒胸に感謝の気持ちを抱いて 二度ない人生強く生きて行く心に沁みる励ます言葉 あ…母の声陰で後押しあすなろ峠 岩に弾かれ七滝(ななたき)落ちて 川も海へと…
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恋しぐれ – 山本ゆき
肩に背中に ふる雨悲し夜のすき間の 恋しぐれ一夜二夜(ひとよふたよ)と 慕(おも)いを重ね時間(とき)に抱かれた 宵化粧(よいげしょう)おくれ髪(げ)を かきあげる指もみれんの なみだぐせ 恋と云う名に 傘さしかけりゃこころ酔わせる 恋しぐれ勝手気ままな あんたに惚れた惚れたあんたは 酒の中もう一度 あの頃に慕(おも)いもどして くれますか 罪な夜風に 振りまわされた女ごころの 恋しぐれいっそこの…
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情炎 – 山本ゆき
炎(ほむら)が燃え立つ 情念が心(しん)の臓(ぞう)まで 掻(か)きむしる他(ほか)の女(おんな)を 抱けぬよういっそ殺(あや)めて しまいたい抑(おさ)えきれない 胸の奥隠(かく)れた鬼(おに)が 顔を出す骨の髄(ずい)まで 愛したい狂(くる)おしいほど 嗚呼(あゝ) おんなです あんたの魂(たましい) 取り出して胸の中へと 宿(やど)したいもしも誰かを 抱いたならあたし生きては いかれないこの…
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紅葉坂 – 山本ゆき
一葉(ひとひら)二葉(ふたひら) 風(かぜ)の中(なか)未練(みれん)のこして 散(ち)り急(いそ)ぐ悲(かな)しさも せつなさも誰(だれ)もわかっちゃ くれないし今日(きょう)もこころの まん中(なか)はひとりなみだの 紅葉坂(もみじざか) この人(ひと)だけはと 背(せ)のびして咲(さ)いてみたけど だめなのねこの命(いのち) このこころなんでわかって くれないの罪(つみ)な浮世(うきよ)の …