多岐川舞子

  • 京都…発 – 多岐川舞子

    散りいそぐ しだれ桜の花びらを 背にうけながらそのおひと ひとすじ死ねるのなら お行きというありがとう 本当に おかあちゃんわたしにはあのひと… あのひとだけ生まれ育った京都 あとにするけどあとにするけど幸せになります きっと きっとおかあちゃん 走りだす バスの窓外(むこう)で元気でと 手をふる母の涕(な)き微笑(えがお) ぼかして花のあらし 桜ふぶきかんにんえ 本当に おかあちゃん今はもうあの…

  • 天上の花 – 多岐川舞子

    二人の手 紐でしばり岬に立てば あなた逃げますか秋の日は つるべ落とし紅蓮に染まる 岸と海花ひとつ 名はふたつ彼岸花 曼珠沙華恋ならば 死んで咲く愛ならば 生きて咲くあなた 私に ついて来て 何もかも 零(ゼロ)でいいの別れるなんて あなた言うけれど抱き合えば 涙にじむ私の胸で 泣きなさい花ひとつ 名はふたつ彼岸花 曼珠沙華恋は今 終わる秋愛は今 探す春あなた 私に ついて来て 花ひとつ 名はふた…

  • 哀愁日本海 – 多岐川舞子

    あてもないのに 真冬にひとり北へ北へと 乗り継ぐ夜汽車あなた忘れる 旅なのにつのる辛(つら)さよ 恋しさよここは最果て 珠洲岬(すずみさき)悲しみが雪に散る 哀愁日本海 帰る港を 失くした船はどこへ彷徨(さまよ)う 未練を乗せて遠く離れりゃ 憎めずに運命(さだめ)うらんで 涙ぐむここは最果て 行き止まりさよならも雪に散る 哀愁日本海 沖の漁り火 嘘でもいいのおんな心に 灯りが欲しい一羽はぐれた 海…

  • 凍る月 – 多岐川舞子

    グラス持つ指 泣いてるように小さく震える ひとり酒ばかね、ばかね私って 自分から幸せこわして 逃げだして窓の外見上げれば 冬の月凍る月… 夜の長さを うらんでみても後悔ばかりが 先にたつ胸に、胸に突き刺さる すきま風お願い許して 責めないでこの想い届けてよ あの人に凍る月… 季節外れに 咲く野路菊に明日の生き方 聞いてみるひとり、ひとりこの街を 出てゆくわ思い出残り香 みんな捨て叢雲も迷いがち 冬…

  • 晩夏の岬 – 多岐川舞子

    この先は恋の 行き止まり戻れはしないくずれて白い 波しぶき罪だって かまわない死んだって ねぇ あなた泣いて泣いて 叫んでも暗い波間に 消えてゆくひとり晩夏の 北岬 どんな花よりも 愛しいとあなたの声はたそがれよりも やさしくてもう二度と 抱かれずに唇は まだ熱い胸が胸が 張り裂けて海もおんおん 鳴いているひとり晩夏の 北岬 すがりつく腕を ほどくよに季節はすぎて涙も枯れた 砂の道紅い陽は 落ちて…

  • 恋いちもんめ – 多岐川舞子

    恋に恋する 年頃はとっくの昔に 過ぎました夕焼け小焼けの 子供らが手と手をつないで 遊んでる「どなたが欲しい?」「あなたが欲しい」あんなに無邪気に 言えたなら……勝ってうれしい 恋いちもんめ負けてくやしい 恋いちもんめ あなたの前じゃ つまらない無口な女の わたしです心はこんなに おしゃべりで100まで言えます 好きなとこ「あなたが欲しい」「あなたじゃわからん」目隠し鬼さん 通せんぼ勝って夢見る …

  • 幸せめぐり – 多岐川舞子

    今日も巡るこの町を風に吹かれて歩く花の香り 鳥の声雲の流れのように 行き止まり 迷い道ふりだしに戻っても空を見上げて微笑んでみる明日(あした)へ思い繋いで 心の夢抱きしめてそっと願い抱きしめて続く道を真っ直ぐにあなたと幸せめぐり 向かい風 立ち止まり挫けそうになっても空を見上げて微笑んでみる明日へ思い繋いで いつか会えるその日まできっとつかむ その日まで続く道を真っ直ぐにあなたと幸せめぐり 人気の…

  • ひとりぼっちの海峡 – 多岐川舞子

    ひとりぼっちの 海峡に赤い涙の 雪が降る空を染め抜く 悲しみよいっそこの身を 投げようかあなた あなた 行かないでせめてわたしが 怨むまで無理を通した いのちの恋に縋り泣きする闇の中‥ ひとりぼっちの 海峡に咽ぶあなたの 声がする逢えば流れて 落ちて行く恋もいつかは 行き止まりあなた あなた 棄てないで愛しすぎたの わたしだけたった一つよ 欲しかったのは心一片(ひとひら)だけなのに‥ ひとりぼっち…

  • Tokyo タイムスリップ – 多岐川舞子

    今夜はふたりで 踊り明かしましょう夜が明けるまで 呑み明かしましょう愛はいつだって 何処か連れて行くまるで Tokyo タイムスリップ愛し愛され 泣いたこの街で ああ男と女で すべて忘れて切なくも甘い ひとときに堕ちて行くのねふたりして‥ 過去を憶(おも)うほど 無駄なことはない通り過ぎて行く 風のようなもの急に降り出した雨の計らいでまるで Tokyo タイムスリップ窓にタワーが 見えるこの店で …

  • 八坂恋物語 – 多岐川舞子

    しょせんは 添えない仲なのにあの日はやさしく 傘さしかけてその気あるやら ないのやら女心に 火をつけた縁を結んでおくれやす 祇園さんしだれ桜の 花吹雪風に舞うのは 涙か恋かせめて逢いたい 逢いたいねえー にくいひと 一度は 諦めかけたのに噂を聞くたび 心は燃えてたとえ短い 夢でいい散って悔いない 覚悟ですどうぞ叶えておくれやす 祇園さんしだれ桜の お花見でそばに寄り添う きれいなお方ちらり目が合う…

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