吉幾三

  • おまえに幸あれ – 吉幾三

    モミジのような おまえの小さな手に父さんの宝物を 持たせてあげる母さんとお揃いの 茶色のおはし母さんからもらった 銀色のペン生まれたばかりの 私の娘よおまえに幸あれ おまえに幸あれ 澄んだ瞳が 今にも壊れそうで父さんは一晩中 眠れなかったよ朝までお呪(まじな)いを 唱えてばかりあぁ“アブランケンソワカ” 魔除けの呪文スヤスヤと眠る 私の娘よおまえに幸あれ おまえに幸あれ いつか二十歳(はたち)の …

  • 三味線が渡った町がある – 吉幾三

    蝦夷(えぞ)へ渡った 人が居た三味線(しゃみ)を片手に 海峡を語りつがれた 唄を背に蝦夷(えぞ)へ渡った 人が居た海を見ながら 聴かされた幼い頃の話だが父が知ってる 人なのか涙浮かべて 話してたよされ よされ よされ よされ三味線(しゃみ)が聴こえます 冬の津軽は 北の津軽と 松前は船と唄とで 結ばれて酒と三味線(しゃみ)とが 船で会い雪と風とで 結ばれた岬の先で 聴かされた凍れる本州・最北端父が…

  • 昭和の背中 – 吉幾三

    母の背中は 花の香りでピーピー泣いてた 気がするよ優しさだけで 育った頃は夢を見ながら 田や畑今はあなたも 背負えずにすまぬ思いで 手を合わすおんぶ恋しや… おんぶ恋しや恋しや背中 父親(おやじ)の背中 土の香りさ叱られ泣いては おんぶされ唄を聞かされ あなたの背中揺れる稲穂と 秋の空今はあなたも 背負えずに孫を背中に 手を合わすおんぶ恋しや… おんぶ恋しや恋しや背中 今は追いつく 歳になり冬が堪…

  • バカな女です – 吉幾三

    「お前のそばが ホッとする」ポツリと私に 言った人あんたが必ず 戻る日を信じて今夜も 待つ私…いくらなんでも これきりなんて嫌よ嫌です つらすぎるバカな 女です今すぐあんた 抱きしめて今すぐあんた 抱きしめて 故郷(こきょう)の話 する時のあんたのあの瞳(め)に 惚れたからほんとは優しい 人だって誰より私が わかってる…理由(わけ)も言わずに これきりなんて駄目よ駄目です ひどすぎるにがい お酒で…

  • OIRU SHOCK! – 吉幾三

    年取ったよネ 年取ったよナ俺達ふたり お前も この俺も…トイレが近けェ… あまり出ねぇのに若い子たちの 言葉が分かんねえ欲しい物など 何にもねぇ喰いたい物など さほどねぇ少しでも 元気なオヤジでいてぇ少しでも 自分の歯で喰いてぇ年取ったよネ 年取ったよナ俺達ふたり お前も この俺も… 髪減ったよネ 髪減ったよナ俺達ふたり あんなにあったのにメガネ欠かせねえ 薬欠かせねえ電話 絵文字が さっぱり分か…

  • 津軽海峡・冬景色 – 吉幾三

    上野発の夜行列車 おりた時から青森駅は 雪の中北へ帰る人の群れは 誰も無口で海鳴りだけを きいている私もひとり 連絡船に乗りこごえそうな鴎見つめ 泣いていましたああ 津軽海峡・冬景色 ごらんあれが竜飛岬 北のはずれと見知らぬ人が 指をさす息でくもる窓のガラス ふいてみたけどはるかにかすみ 見えるだけさよならあなた 私は帰ります風の音が胸をゆする 泣けとばかりにああ 津軽海峡・冬景色 さよならあなた…

  • 川の流れのように – 吉幾三

    知らず知らず 歩いて来た細く長い この道振り返れば 遥か遠く故郷が見えるでこぼこ道や 曲がりくねった道地図さえない それもまた人生あぁ川の流れのように ゆるやかにいくつも時代は過ぎてあぁ川の流れのように とめどなく空が黄昏に 染まるだけ 生きることは 旅すること終わりのない この道愛する人 そばに連れて夢 探しながら雨に降られて ぬかるんだ道でもいつかはまた 晴れる日が来るからあぁ川の流れのように…

  • 悪女 – 吉幾三

    マリコの部屋へ 電話をかけて男と遊んでる芝居 続けてきたけれどあのこもわりと 忙しいようでそうそうつきあわせても いられない 土曜でなけりゃ 映画も早いホテルのロビーも いつまでいられるわけもない帰れるあての あなたの部屋も受話器をはずしたままね 話し中 悪女になるなら 月夜はおよしよ素直になりすぎる隠しておいた 言葉がほろりこぼれてしまう 「行かないで」悪女になるなら裸足で夜明けの 電車で泣いて…

  • Try A Little Tenderness – 吉幾三

    涙の数だけ優しくて 怒った数だけ笑えるさ夢みる数だけ希望あり 歩いた数だけ願いある 他人に優しくしているかい 望んで我慢もしているかい仕事は楽しくしているかい 偏見差別はしてないかい 本気で平和を願うかい 本気で語って生きてるかい本気で彼女に惚れてるかい 本気でこの先分かるかい 逢える数だけ嬉しくて 別れの数だけ大人になる年とる数だけものを知る 優しくなれるさ少しだけ Come on give y…

  • 星の雫 – 吉幾三

    いつでも君が居た いつでも僕の側波の寄せ来る音を 聞きながら居たこれからの夢…君 夜空の星を見て泣いて笑ってケンカして 生きて行(ゆ)こうと決めたあの日の君に会いたい ポロポロポロポロと今あの時の君の頬笑み追って 昨日も今夜も泣いている今にも全てが壊れそうで ポロポロポロポロと僕が夜空に浮かぶ 君の顔が 星の…星の雫に… 知っていたのさ僕 君の病(やまい)の事弱虫 泣き虫だネと 言いながら…君「そ…

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