原田悠里

  • ノクターン~黎明~ – 原田悠里

    幾年月 追いかけてきた夢は地平の彼方 今も手招きしてる 年齢なんて 指標に過ぎないのよ諦めるなら 他の理由にするわ 夜に絆(ほだ)され雨に身を冷やされて束の間の木漏れ陽が喜びだと知るまで勘違いしていたわ青春とは 若き日々のことだと 情熱捨てず恥じらいに流されず悲しみも抱きしめて愛せたとき初めて心で理解するのよ人生とは湖面に吹く風だと 答えなど 有りはしないと歩みは進めば進むほど深く私の中に刻まれゆ…

  • 春待酒 – 原田悠里

    浮世七坂 度胸が命錦を飾って 泣こうじゃないかふたり門出の あの日の誓い我慢の向こうに きっとある春を信じて 春を信じて交わすふたりの 契り酒 苦労くの字で 雨風しのぎ草木は根を張る 枝葉を伸ばす匙(さじ)を投げるにゃ まだまだ早い明日の明日は またあした夢を支えに 夢を支えに渡る世間の 幾山河 千里万里の 苦節を越えて差しつ差されつ 飲もうじゃないか猪口(ちょこ)に浮かべた 桜の花よあんたと寄り…

  • 太鼓 – 原田悠里

    冬ざれの 肌さす風が痛い痛い 能登だよ 輪島だよ聞こえくる 地なり 海なりいやいや あれが 御陣乗(ごじんじょ)太鼓ドンスクスクドン 季節はずれがなおさらにドンストトトドン 心の底を突き揺するドンスクスクドン 攻めくる冬を打ち払えドンストトトドン つらい想いも打ち払え乱れ心は 夜叉(やしゃ)の面に隠して 末枯(うらが)れの 黄昏海は暗い暗い 能登だよ 輪島だよ岩浜に 切子燈(きりことも)せよ心は …

  • 中山道 – 原田悠里

    あなた忘れの 旅に来てあなた恋しと 泣く私夜泣き地蔵さん 見ていて欲しい碓氷峠(うすいとうげ)を 越えたならけじめをつけます 一歩また一歩中山道(なかせんどう)は 山の中 未練引きずる この胸を十六夜月(いざよいづき)が 笑ってる右へ行(ゆ)こうか 左へ行こか追分宿(おいわけじゅく)の 分かれ道涙をふいたら 一歩また一歩中山道は 迷い道 肩にとまった 枯れ葉より軽いはかない 恋だった憎さいとしさ …

  • 淡月 – 原田悠里

    燃えたひと夜の 名残りでしょうか溶けて消えそな 朝の月あれは淡月(あわづき) 哀(あわ)れ月(づき)明けて憎らし あなたは帰る忍ぶ恋路に 浮かぶ月 無理を承知の わがまま言って拗(す)ねる女の 胸のうち焦(じ)れて淡月 虚(うつ)ろ月(づき)熱い褥(しとね)も ひとりは寒い吐息溜め息 こぼれ月(づき) 月は満ちても この身は欠ける添えぬ運命(さだめ)の 愛悲し窓に淡月(あわづき) 儚月(はかなづき…

  • 嘘つきキツツキ – 原田悠里

    ほんとはお酒にゃ めっぽうつよいでもね今夜も よわいふりわたしは嘘つき 嘘つきキツツキだってあなたに 甘えたいあなたの胸を ツンツンつつき愛のことばを 欲しがるの あなたの浮気にゃ 気づいているわだけど何度も 知らんぷりわたしは嘘つき 嘘つきキツツキずっとあなたと いたいからつかんだ腕を ツンツンつつき離さないわと おどすのよ 惚れてるおとこにゃ 笑顔を見せて古い傷あと かくすのよわたしは嘘つき …

  • 花は黙って咲いている – 原田悠里

    日暮れの雨に 打たれても花は黙って 咲いている冷たい風に ふるえてもそこにきれいに 咲いている誰のために 生きますか誰のために 散りますか花は花として ただ咲くだけ 名もさえ知らない あてもない花は黙って 咲いている振り向く空は 遠くてもそこにきれいに 咲いている母のような 優しさで母のような ゆかしさで花は花として ただ咲くだけ 夜露に濡れて 色あせて花は黙って 咲いている明日になれば 陽をあび…

  • 愛の糸 – 原田悠里

    ここまで歩いて 来た道はあなたと出逢う ための道これから歩いて ゆく道はあなたと一緒に 歩く道有り難う 有り難う固く結んだ 愛の糸 生まれた時から もしかして結ばれていたの もしかして愛が運んだ この縁(えにし)知らぬ同士の 巡り逢い有り難う 有り難う熱い情けの さだめ糸 悲しい時には うつむかず苦しい時には 前を見てどしゃ降り続きの 世の中もいつかは晴れる 陽(ひ)は昇る有り難う 有り難う命きず…

  • 思いのままに – 原田悠里

    明日のことなど わからない現在(いま)を大事に 生きるだけたったひとつの このいのち女に生まれて きたからは思いのままに 華やかに恋の花を 咲かせたい 他人の噂は 気にしない誰に文句も 言わせない時の流れに ゆだねるも抗(あらが)い生きても かまわない誇りは高く のびやかに夢の花を 咲かせたい 明日は明日の 風が吹く今日の涙は 雨になれ一度しかない 人生を悔やまず生きたい これからは思いのままに …

  • 砂の道 – 原田悠里

    指宿(いぶすき)行(ゆ)きの 列車に揺られ今日は切ない 一人旅あなたと歩いた 知林ヶ島(ちりんがしま)の縁(えにし)を結ぶ 砂の道現在(いま)は涙の 満ち潮で渡りたくても 渡りたくても 渡れない 小さな駅の 黄色いポストどうか届けて この想い出逢いと別れが ぶつかり合って一期一会の 砂の道愛の炎を 消せなくて忘れられない 忘れられない 忘れない 錦江湾(きんこうわん)に 面影揺れてあなた恋しい 桜…

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