原田悠里

  • 太鼓 – 原田悠里

    冬ざれの 肌さす風が痛い痛い 能登だよ 輪島だよ聞こえくる 地なり 海なりいやいや あれが 御陣乗(ごじんじょ)太鼓ドンスクスクドン 季節はずれがなおさらにドンストトトドン 心の底を突き揺するドンスクスクドン 攻めくる冬を打ち払えドンストトトドン つらい想いも打ち払え乱れ心は 夜叉(やしゃ)の面に隠して 末枯(うらが)れの 黄昏海は暗い暗い 能登だよ 輪島だよ岩浜に 切子燈(きりことも)せよ心は …

  • 中山道 – 原田悠里

    あなた忘れの 旅に来てあなた恋しと 泣く私夜泣き地蔵さん 見ていて欲しい碓氷峠(うすいとうげ)を 越えたならけじめをつけます 一歩また一歩中山道(なかせんどう)は 山の中 未練引きずる この胸を十六夜月(いざよいづき)が 笑ってる右へ行(ゆ)こうか 左へ行こか追分宿(おいわけじゅく)の 分かれ道涙をふいたら 一歩また一歩中山道は 迷い道 肩にとまった 枯れ葉より軽いはかない 恋だった憎さいとしさ …

  • 淡月 – 原田悠里

    燃えたひと夜の 名残りでしょうか溶けて消えそな 朝の月あれは淡月(あわづき) 哀(あわ)れ月(づき)明けて憎らし あなたは帰る忍ぶ恋路に 浮かぶ月 無理を承知の わがまま言って拗(す)ねる女の 胸のうち焦(じ)れて淡月 虚(うつ)ろ月(づき)熱い褥(しとね)も ひとりは寒い吐息溜め息 こぼれ月(づき) 月は満ちても この身は欠ける添えぬ運命(さだめ)の 愛悲し窓に淡月(あわづき) 儚月(はかなづき…

  • 嘘つきキツツキ – 原田悠里

    ほんとはお酒にゃ めっぽうつよいでもね今夜も よわいふりわたしは嘘つき 嘘つきキツツキだってあなたに 甘えたいあなたの胸を ツンツンつつき愛のことばを 欲しがるの あなたの浮気にゃ 気づいているわだけど何度も 知らんぷりわたしは嘘つき 嘘つきキツツキずっとあなたと いたいからつかんだ腕を ツンツンつつき離さないわと おどすのよ 惚れてるおとこにゃ 笑顔を見せて古い傷あと かくすのよわたしは嘘つき …

  • 花は黙って咲いている – 原田悠里

    日暮れの雨に 打たれても花は黙って 咲いている冷たい風に ふるえてもそこにきれいに 咲いている誰のために 生きますか誰のために 散りますか花は花として ただ咲くだけ 名もさえ知らない あてもない花は黙って 咲いている振り向く空は 遠くてもそこにきれいに 咲いている母のような 優しさで母のような ゆかしさで花は花として ただ咲くだけ 夜露に濡れて 色あせて花は黙って 咲いている明日になれば 陽をあび…

  • 愛の糸 – 原田悠里

    ここまで歩いて 来た道はあなたと出逢う ための道これから歩いて ゆく道はあなたと一緒に 歩く道有り難う 有り難う固く結んだ 愛の糸 生まれた時から もしかして結ばれていたの もしかして愛が運んだ この縁(えにし)知らぬ同士の 巡り逢い有り難う 有り難う熱い情けの さだめ糸 悲しい時には うつむかず苦しい時には 前を見てどしゃ降り続きの 世の中もいつかは晴れる 陽(ひ)は昇る有り難う 有り難う命きず…

  • 思いのままに – 原田悠里

    明日のことなど わからない現在(いま)を大事に 生きるだけたったひとつの このいのち女に生まれて きたからは思いのままに 華やかに恋の花を 咲かせたい 他人の噂は 気にしない誰に文句も 言わせない時の流れに ゆだねるも抗(あらが)い生きても かまわない誇りは高く のびやかに夢の花を 咲かせたい 明日は明日の 風が吹く今日の涙は 雨になれ一度しかない 人生を悔やまず生きたい これからは思いのままに …

  • 砂の道 – 原田悠里

    指宿(いぶすき)行(ゆ)きの 列車に揺られ今日は切ない 一人旅あなたと歩いた 知林ヶ島(ちりんがしま)の縁(えにし)を結ぶ 砂の道現在(いま)は涙の 満ち潮で渡りたくても 渡りたくても 渡れない 小さな駅の 黄色いポストどうか届けて この想い出逢いと別れが ぶつかり合って一期一会の 砂の道愛の炎を 消せなくて忘れられない 忘れられない 忘れない 錦江湾(きんこうわん)に 面影揺れてあなた恋しい 桜…

  • 歌語の浪朗唱~明治幻燈 お蝶夫人~ – 原田悠里

    ある晴れた日 遠い海の彼方に煙がたち 船がやがて見える真白い船は 港に入り礼砲を撃つごらん あの人よ だけど迎えにゃ行かない近くの岬へ出て そこであの人を待つのよ いつまでも… 幕末から明治へと大きく移り変わった御一新の頃、私は没落した元武家の娘として家計を助けるためにと、丸山遊郭に舞いと茶の指導にと通うようになりました。そこで米国の海軍士官ピンカートン様と出会い、二人は深い恋にと落ちてしまったの…

  • 二人の春 – 原田悠里

    一人で生きると 心に決めて涙をこらえて 歩いて来たわつらい坂道 回り道きっとあなたに 逢うために生まれてきたの…春が来ました 二人の春が 哀しい時には 泣いたらいいと涙を優しく ぬぐってくれた肩の荷物も 幸せもきっとあなたと 分け合えば乗り越えられる…春が来ました 私の春が 袂(たもと)に隠した 女の夢が涙の分だけ 大きく咲いた寒い雪道 いばら道きっとあなたと 一緒なら明日は晴れる…春が来ました …

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