南一誠

  • 青春のポケット – 南一誠

    この頃すっかり 弱くなったと軽いボヤキで 飲んでいる女房子供たち 守り守られ小さなしあわせに 酔っているふるさとの 風吹く中で好きな時に 好きなように生きてみれば これもありだと涙落とした 青春のポケットを抱いている 昔に流行った 歌を肴(さかな)に飲んで静かに ふり返る仲間も少しずつ 欠けてゆくけどまだまだ元気だと 笑いあう友よもう 帰って来いや時が移り 時が変えた街でみんな 待っているから涙落…

  • 冬木立 – 南一誠

    人は重いコート背負い 足早に過ぎる風は朽ちた木の葉連れてたそがれを吹き過ぎる 愛されるより 愛する方がいい傷つけるより 傷つく方がいいそれで良かったはずなのに今の私は 悲しみ背負い季節にふるえる 冬木立 街は今日も口を閉ざし 寒い夜に眠る愛はさようならも告げず街角に消えてった許すことさえ 今更むなしくて頬を流れた 涙のあともないそんなはるかな恋なのに今の私は 面影抱いて季節にふるえる 冬木立 愛さ…

  • 慕情の街 – 南一誠

    別れたおまえに逢えそうな鯉城通りの 日昏れ刻あなたが最後の恋なのと泣いてたおまえは 今何処に想い出拾う ひろしまでもう一度逢えたら… 初めてふたりが結ばれた宇品みなとに灯がともる両手で囲ったライターの焔に愛しい あの笑顔幸せだった あの頃に戻ってゆけたら… 噂も跡絶えた 流川(ながれかわ) 酒がこの俺 また責めるこの世の運命に裂かれても離しちゃいけない女だった面影ゆれる ひろしまでもう一度逢えたら…

  • 笑顔がいいね – 南一誠

    お前のこころの小さな不幸俺にあずけてくれないか声を出したらこぼれて落ちる涙こらえてうなずきながら淋しがりやのお前が笑ってくれる…そんな笑顔がいいね 聞きたくないのさ昔のことは今のお前が 好きだから二人並んで 鏡にむかい記念写真になったらいいと淋しがりやのお前が笑ってくれる…そんな笑顔がいいね 二人の暮しが落着いたなら旅にお前を連れて行こうこんな幸せ初めてですと地図を広げてとまどいながら淋しがりやの…

  • 広島天国 – 南一誠

    流れて行くから 流川やけのやんぱち 薬研堀のれん掻き分けて もぐら横丁ちびりちびりの なめくじ横丁ここは広島の夜の盛り場 ルルル今夜も勝ち 明日も勝ちカープをさかなに 飲み明かそうよ酒は 広島の泣き笑いみんなで飲めば 広島天国 若くてピチピチ 新川場二皮どころか 三川町口八丁なら 手も八丁けんかおさめは 中の棚ここは広島の夜の盛り場 ルルル今夜も晴れ 明日も晴れ天気をさかなに 飲み明かそうよ酒は …

  • 命こがれて – 南一誠

    この世で貴方に逢うために今日までしてきた遠まわり愛することのやるせなさ 切なさ辛さああ こころが 焦がれ泣く…ああ いのちが 焦がれ泣く…死ぬほど貴方が貴方が好きだから 傷つく恋でもかまわない罪なら裁きを受けていいときめく胸の狂おしさ 激しさ熱さああ こころを 搦めあう…ああ いのちを 搦めあう…貴方とひとつに ひとつになりたくて この世で貴方を 失くしたら明日はいらない 欲しくない逢えない夜の愛…

  • ふりむけばいい女 – 南一誠

    グラスについた 口紅の迹そこから飲んでと 甘えた女酔えばあなたの 故郷の町へ行ってみたいと あいつはいつも 微笑ってたあれは俺が 二十歳過ぎひと目惚れした いい女 マニキュアつけた 指先で花びら占い していた女生まれかわって 逢えたらいいと指環はずして 小さな肩を 震わせたあれは俺が 三十歳でうしろ髪ひく いい女 着物が似合う 襟足にほのかな色気を 感じる女ふたり今夜は 酔いたいなんて店の灯りを …

  • 瓢湖 – 南一誠

    きみと別れた 淋しさに耐えられなくて 旅したよひょう ひょう ひょうと 越後の国の瓢湖の水に 舞いおりる 俺も一羽の 渡り鳥ひょう ひょう ひょうと 風にとぶまこもがくれに 灯がゆれる水原町は 水の上 ひょう ひょう ひょうと ただよう波が瓢湖の春を 浮かべてもひとり地酒を 傾けるこころは寒い ひとり旅 群れをはずれた 白鳥は生きては故郷へ 戻れないひょう ひょう ひょうと 小枝を鳴らす瓢湖に残る…

  • 男の栄光 – 南一誠

    風の吹くまま 流れのままに苦労重ねの 二十と五年仲間がいたから 今がある今があるから 将来(あす)があるたったひとりじゃ 出来ないこともそうさ仲間が いればこそ長い月日も 心のままにそっと輝く 男の栄光(あかり) 夢を追うほど またその夢が何も言わずに どこかに消えた辛いときには 泣くがいい泣くも笑うも 人生だ悔しなみだは 明日への力友と交わした その酒が将来(あす)があるよと 教えてくれた夜のす…

  • 郷愁の太田川 – 南一誠

    広島(まち)を潤す 六筋(むすじ)の川の水源(もと)は聖湖(ひじりこ) 三段の滝酒を酌み交(あ)う 友がいる母の姿が 瞼に浮かぶあゝ ふるさとは いまも心に遠き 想い出 太田川 父と泳いだ 津浪の岸辺加計(かけ)の山々 せせらぎの里夢追いし日々 懐かしく出会い別れを 忘れずいまもあゝ ふるさとの 友は何処に希望(ゆめ)も拡がる 太田川 いつか故郷に 尽くせることを月に誓った あの日を偲ぶ幼馴染と …

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