北岡ひろし

  • 車屋佐助 – 北岡ひろし

    ひょいと法被(はっぴ)を 引っ張られおいらに頼みが あるという好いたお方に この手紙内緒で届けて くれというあたりき車力の 車引き合点承知の こんこんちきよ名前聞くなぞ 野暮だと云わりゃ車屋佐助の 名がすたる 背紋一(ひと)文字 だてじゃねえお助け手助け 人助け花のお江戸の 川向うひと役かかえて ひとっ跳び鼻筋通った 男前たしかに渡した 受け取った手柄立てれば 一目(いちもく)置かれ車屋佐助の 名…

  • 宿題 – 北岡ひろし

    今日の宿題はつらかった今までで一番つらい宿題だった一行書いては なみだがあふれた一行書いては なみだが流れた「宿題はお母さんの詩です」先生は そう言ってから「良子さん」と私を 呼ばれた「つらい宿題だと思うけどがんばって書いてきてねお母さんの思い出としっかり向き合ってみて」 「お母さん」と一行書いたらお母さんの笑った顔が浮かんだ「お母さん」ともう一つ書いたらピンクのブラウスのお母さんが見えた「お母さ…

  • 祇園白川宵桜 – 北岡ひろし

    「おおきにようこそ おいでやす」「お似合いですね お着物が」風がやさしく 柳をゆすり約束した日が よみがえる祇園白川 宵桜ふたりは季節を 待ちわびた 「賑わってますね 見事です」「はぐれんといて おくれやす」町屋格子戸 川端通り朱色の玉垣(たまがき) 巽橋(たつみばし)祇園白川 宵桜触れ合う手と手が ぎゅっとなる 「そないに見ないで おくれやす」「あなたを越える 女(ひと)はない」みだれ箱には 外…

  • ビードロ恋歌 – 北岡ひろし

    はじめ小さな ひび割れがいつか弾ける 硝子と嘘はあなたと愛の すれちがい戻す手立てが 見つからないのポッペン ポッペン ポッペン 歯がゆいとポッペン ポッペン ポッペン さみしいとグラスも泣いてる ビードロの恋 そっと吹いたら 音が出ずきつく吹いたら 砕けてしまう遊びじゃ恋は できないの恋の駆け引き おんなは弱いポッペン ポッペン ポッペン 爪をかむポッペン ポッペン ポッペン 涙ぐむにじんだ口紅…

  • 御宿・曳き舟 – 北岡ひろし

    ぽつりぽつりと 涙のような小雨がこぼれる 紅格子(べにごうし)浮き世の川面(かわも)で 凍える身にはゆれる柳の 手まねき嬉しいいわ いいわ ちょうどいい ぬる燗も御宿・曳き舟 出逢い茶屋 しゃらりしゃらりと 根付(ねつ)けの鈴があいつは誰かと 猫がくれおあずけ喰らって やけ酒あおる野暮な女の うなじが寒いいいわ いいわ ちょうどいい わかれ時御宿・曳き舟 かえり橋 ぱらりぱらりと 節分豆に野鳩(の…

  • 伏見十石舟 – 北岡ひろし

    乗るか乗らぬか 乗らぬか乗るか知らぬ同士の 東男(おとこ)と京女(おんな) 「乗ってみますか 良かったら」「乗ってみまひょか ご一緒に」船頭さんの 空の上ぐるり鳶が 輪を描いて竿でトトンと 岸をつきゃ伏見十石 舟が出る 舟が出る 「もしやあなたは 土地のひと」「生まれ育ちも 京都どす」酒蔵 柳 であい橋揺れて触れ合う 肩と肩しぶき八の字 飛び跳ねて伏見十石 舟が行く 舟が行く 「ひとり旅です この…

  • 三つの氷 – 北岡ひろし

    いつもお酒を 飲むときは氷三つと 決めていたそんなあなたの こだわりもとても愛しい日々だった三つの氷が 溶けるころ私はあなたの腕の中 腕の中…今もぬくもり 消えなくてひとり淋しい 想い酒 想い酒 ひとつふたつと 積み重ね夢がはじけた 三年目今もあなたの 面影を暮れゆく街に 探してる三つの氷が 溶けるころ私はあなたの腕の中 腕の中…涙ポロポロ ポロポロリこころ淋しい 想い酒 想い酒 三つの氷が 溶け…

  • 不滅の愛 – 北岡ひろし

    希望(きぼう)にふくらむ 銀(ぎん)の猫ヤナギ今年も街角で 春を告げてるあれから何年 歩いたでしょうかあなたと共に 夢の道いいことばかりじゃ なかった‥死にたいくらいの 夜を越えて泣いても涸(か)れない 涙があると風にも消えない 街燈(あかり)があるとあなたは無言(むごん)で 教えてくれた人そしてあなた あなたへの 不滅(ふめつ)の愛 心のどしゃぶり 長い雨の後雲間(くもま)でよみがえる 空の青さ…

  • 紅の蝶 – 北岡ひろし

    好きなお方に 会える日は三味線(しゃみ)の音色に 身も染まるだけど私は 籠(かご)の虫明日(あす)を縛られ 飛べないのあなたの情け 一筋を胸にからめる 紅の蝶 恋だ愛だと 色めけば沈む花街 闇(やみ)の川どうせ指輪は 夢だもの口紅(べに)を差す指 また痩せたあなたの写真 一枚が帯のお守り 紅の蝶 いつか私が 死んだなら紅い炎(ひ)が立つ 野辺(のべ)送りいいえ花など 望まない泣いてください ひと夜…

  • 銀座のうた 銀座ロマン PARTIII – 北岡ひろし

    夕暮れ時には 銀座結びの女のおくれ髪が どこかみょうに色っぽい銀座 夜を染めて銀座 心も染めてすみだの風 柳ゆらしゆらゆらゆらとゆれている出会う恋 銀座ネオン 新内流しが 声をかけられひと節聴かせては 三味を片手に一杯銀座 何を求め銀座 人が寄り添う今も昔もこれからも夢を探して歩く街花よ咲け 銀座ロマン 銀座 何を求め銀座 人が寄り添う今も昔もこれからも夢を探して歩く街花よ咲け 銀座ロマン 人気の…

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