加藤登紀子
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生きとし生きるもの – 加藤登紀子
その胸にもしも今 熱い涙こぼれたらまだ知らない明日が もうそこに生まれてる見捨てられた世界の片隅 凍えた地の果て荒野でも あしたへ育ちゆくものよ どんな時も忘れないでその手の小さな温もり 命の力信じて今日を生きる糧を奪われ 傷ついたからだ寄せ合う時も 風吹く時は 風の中を 雨降る日には 雨の中を風吹く時は 風の中を 雨降る日には 雨の中を 生きとし生きる かけがえのないもの生きる悦びが あしたを拓…
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ゲバラ・アーミオ – 加藤登紀子
アー・ゲバラ ゲバラ アーミオ真昼は光の中で夜は鉄砲の玉の中俺とお前は恋をした恋をしたのだ ハイ アー・ゲバラ ゲバラ アーミオ俺とお前は兄弟だおてんと様も兄弟だ空いっぱいのさかずきで酒を飲むのだ ハイ アー・ゲバラ ゲバラ アーミオ俺はこれから町に出て汗にまみれて一仕事お前は鉄砲肩にして山にゆくのだ ハイ アー・ゲバラ ゲバラ アーミオだけど思いはひとつそれは今夜の酒の味かわいいあの娘のことなの…
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きみはもうひとりじゃない – 加藤登紀子
ありがとうごめんなさい 言えないきみが好きさ本当の気持ち 言えるまでは 黙ってていいよ 空が綺麗すぎて 泣きたくなるのはどうしてどこか遠いひとのこえが聞こえる気がして 空を飛ぶ鳥も 迷子になる時があるそんな時はもっと高く 飛び立って行くんだ 誰かを愛したら きみはもうひとりじゃない誰かのために空を見あげる きみはもうひとりじゃない 大好き大嫌い どっちかわからないよ本当の気持ち わかるまでは抱き合…
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あなたの気配 – 加藤登紀子
ひとりぼっちはつらくはないのに日の暮れる頃になると泣けてきたりして疲れすぎたのだと思ってみたりしてひとりでお茶を飲んでみる窓から夕陽がさしこんであなたの匂いに気がつくのです あなたがいなくても時は過ぎてゆき季節はめぐり二度目の夏が来たお陽さまは輝き空は晴れて美しい季節になりました白い砂浜に寝ころんであなたの気配に気がつくのです 雨にぬれながら街を歩きなじみの酒場の前に立つ古い日記なんか開かなくても…
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さ・か・さの学校 – 加藤登紀子
大きな砂時計 グルリと回せば新しい時間が 走り出すありきたりの常識 さかさにすれば昨日と違う 風が吹く もう終わりだと思えた時 次の瞬間がもう始まっている行き止まりだと思えた時 違う景色が見えてくる 君は魔術師 さ・か・さの学校未知の未来を 運んでくる 間違いだと気づいたら ページをめくれ何度でも違う扉 開ければいい泣きたいほど苦しけりゃ 泣けばいい辛さをこらえるより 声を出せ 昨日の殻を脱ぎ捨て…
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Freedom – 加藤登紀子
Freedom 限りない自由の中へFreedom 終わりなき旅にむかって ビルの窓から見える空も木々をゆらして吹く風もおいらの心を呼んでる見えない壁をつきやぶれば自由の世界がすぐそこにおいらの心を呼んでる Freedom 限りない自由の中へFreedom 終わりなき旅にむかって 裸足で歩いたいなか道やけつく陽ざしがおそう時おいらの心は走り出す見えない鎖につながれて知らず知らずにさびついた心の扉をあ…
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色即是空 – 加藤登紀子
星空の下でかがり火を燃やそうお陽さまは沈み何もかも闇だ星空の下でかがり火を燃やそうよけいなものはみんな捨てて今日はどこかへ身軽な旅どこで生きても同じことどこで死んでも同じこと 夜明けが来るまで酒杯をかわそう夜はまだ長い東の空も闇だ夜明けが来るまで酒杯をかわそうよけいなものはみんな捨てて今日はどこかへ身軽な旅どこで生きても同じことどこで死んでも同じこと 夜明けの寒さにふるえているのかお陽さまが出れば…
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雨音 – 加藤登紀子
どうして雨が降るのですか?どうして風が吹くのですか?静かな深い雲の向こうから誰か私を呼んでますか? 泣いているのですか?歌っているのですか?誰もいない空っぽの空に向かってそれでもあなたは叫ぶのですか? どうしても伝えたいことがある。あの人にどうしても抱きしめたい人がいる。あの場所に何のために 誰のために、さあ、きっと、私自身のために どんなに別れが辛くても、どんなに淋しい最期だったとしても共に生き…
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風が吹いています – 加藤登紀子
風が吹いています 海が呼びかけてきます声をかければ応えてくれそうな 街並みが佇んでいます壊れた家の窓枠にも 面影が揺れています能登瓦の屋根が 大地にうずくまっています 悲しみの里にも 春の花が咲いて命ははなやぐもの あなたの笑顔の中 必ずもどって来る 懐かしい暮らしを取り戻す挫けそうになっても 見捨てたりはしない今日も能登の空は 青く輝き軒先に赤い花 子供らの声が聞こえてきます 懐かしい 故郷 変…
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浪漫浪乱 – 加藤登紀子
坊や 堕ちなさい 溺れなさい我を忘れてしまいなさいうまく行くのか 行かないかそんなこと 悩むのは早すぎる 心とからだが混りあうそれが恋とゆうものさたとえば 地獄をのぞき見て全てをなくしても悔いはない坊や二十才か二十一 花も嵐も似合う頃 坊や 抱きなさい 奪いなさい苦い思いも背負いなさいさまになるのか ならないかボロボロになってから きめればいいさ よろめきながらの綱渡り目かくししてでも渡るにはたと…