伍代夏子

  • 千年万葉の恋歌 – 伍代夏子

    黄金色(きんいろ)の風が渡る 稲の穂を揺らし実る大地 この身育んだ 我が故郷よ晴れの日も 雨の日にも 芽吹く奇跡があるめぐり逢えた あなた一瞬で 愛したように引き合う魂は 千年を超えよみがえり 繰り返す 寿(ことほ)ぐ恋をありがとう この国に 生まれてよかったと 太陽と共に目覚め 今日の日に感謝父よ母よ 二重螺旋から つなぐ命よ衣手が触れ合うたび 抱きしめた記憶が胸に夢に 瞳見つめれば 時間(とき…

  • しゃんしゃん牡丹 – 伍代夏子

    立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花 すれ違ったろ 見てみなよ牡丹みたいなべっぴんだシャンだ、シャンだね しゃんしゃんと牡丹惚れたか 牡丹惚れたか 鈴が鳴るこそこそささやく 柳たちどこ吹く風さ 知らん顔振り向きゃしないよ ねぇ あんたには花じゃないんだ、花じゃないんだ、 サテナ あたしは女 触れなば落ちん その風情牡丹みたいに色づいてシャンだ、シャンだね しゃんしゃんと牡丹惚れたか 牡丹惚れた…

  • 高山巡り – 伍代夏子

    春は宮川 桜の宴(うたげ)やがて屋台の 華舞台時代絵巻か 提灯(ちょうちん)明かり人恋染めし 赤の群れ 夏は岩風呂 こ粋(いき)な浴衣(ゆかた)旅の途中か 柳橋路地の向こうは いにしえ通り沁みる心に 遠花火 秋は紅葉の 高山陣屋(じんや)今じゃ昔の 城下町せめて手紙を したためましょか燃える思いの つれづれを 冬はいつくる 木枯らし吹けば十日待たずに 雪化粧人の情けが 湯舟にとけて冬というのに 春…

  • くちべに – 伍代夏子

    日暮れに化粧をする度に女の心は鳥になる綴りかけの おもいで数えてはそっと舞いあがる追いかけましょか あきらめようかそれとも水に 流しましょうか切なさが 涙を誘う色あせた鏡の奥で 口紅(べに)が泣く 素肌をあずける人もなく愚かな女になれもせず時の振り子 背中で聞きながら夢をなぞってる脱ぎ散らかした 洋服の海着替えてみても あなたはいないしなやかに 酔いしれながら眠らせてあなたの胸で 口紅(べに)が泣…

  • 港ラプソディー – 伍代夏子

    月のしずくを浴びて 歩く遊歩道枯れたピアノがよく似合う 白い石畳男も女も 通りすがりのエトランゼ外国航路の船が行く汽笛を残して遠去かるあなたにもたれてたたずめば港ラプソディー レンガ造りのホテル もれる窓明かりまるで異国に居るようで 胸が熱くなるきらめく星屑 風も切なく吹くばかりダブルの背広に沁みこんだ煙草の匂いがほろ苦いも少し歩いていいかしら港ラプソディー 男も女も通りすがりのエトランゼ外国航路…

  • 鎌倉八景 – 伍代夏子

    来(こ)し方(かた)の 夢を集めて今もなお堀割りくぐる 水の音好きで会えない 運命(さだめ)でも心にあなたを 忍ばせてひとり佇み 紅を引く この道も いつかあなたに続く道願えば叶う 切通し一期一会の この絆しあわせ祈って 手を合わす日暮れ長谷(はせ)寺 半夏生(はんげしょう) ときめいて 燃える心の篝火(かがりび)をあなたにせめて 届けたい小町通りの 人の波抜ければつつじの 段葛(だんかずら)結ぶ…

  • 春子 – 伍代夏子

    はじめてお店へ 出たときに貰った名前が 春子です桜の花びら 妖しく散って春もひととき 春もひとときあゝ夢ん中 別れてお店に また勤め夏子という名に 変えました若さにまかせて 抱かれるたびに嘘がせつない 嘘がせつないあゝ水中花 流れてお店は 港町秋子という名の 酔っ払い背すじをのばして 生きてはみても酒がささえの 酒がささえのあゝ幾千鳥 何処かでなにかが 間違ったナイフを握った 冬子です桜の花びら …

  • ひとひらの雪 – 伍代夏子

    はらはらと はらはらと雪が降る こころに赤い花 赤い花 雪椿ひとひらなぜ 一夜だけの なぜ 恋人(ひと)なのなぜ もえ残るの くちびるが素肌にはおる 絹の単衣(ひとえ)に移り香が闇にこぼれ じれる黒髪 こらえても こらえてもあふれだす 愛しさ雪の宿 雪の宿 降りつもる哀しみなぜ 朝が来るの なぜ 別れのなぜ ひとり行くの そばにいて汽笛が遠く 白い平野を追いすがる瞳の中を あなた消えてく あなたに…

  • 渋谷百年総踊り – 伍代夏子

    百年前にもお会いしましたか朱鷺色浴衣 可憐な娘金王八幡宮 子授け祈願祭囃子も下る坂手拍子合わせて ながめてかざす踊れ弥栄 集えや谷へ渋谷百年総踊り 秋田生まれで ふるさと東京ハチと呼ばれて幾年か景色変われど 花咲く笑顔今日はどなたが待ち合わせ手拍子合わせて ながめてかざす踊れ弥栄 集えや谷へ渋谷百年総踊り 百年先でもお会いしましょうね緑豊かな街並みと百軒店から恋文送ろうか春の小川はさらさらと手拍子…

  • 虹の橋 – 伍代夏子

    深く身体 眠りつけば心は風に乗りどこへだって 飛んでゆける哀しいだけじゃない 自由になる 素敵よ青い空の上いつか また逢えるわ大丈夫よ ひとりじゃない虹の橋から 見つめているわ離れやしないの 心は… 傷ついたり 傷つけたり悩んだ日々は そう自分らしい 想い出なの心の彩りは 生きたあかし 素敵よ青い空の上みんな また逢えるわ大丈夫よ そばにいるの虹の橋から 逢いに来るから離れやしないの 心は… 青い…

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