久保あおい

ささくれ – 久保あおい

ささくれが出来た右手の小指
今日は何故かいつもよりも痛んでる
胸の真ん中に空いた穴は
つぎはぎで出来てる
ジーンズみたいで

茜色に染まる坂道
両手に抱えたもの
離れないように
繋ぐ手のひら
どうかどうかとぎれないで

世界中探してもみつからない
ひだまりに寄り添いながら
名前のない日々の幸せはまだ
正しいのかどうかは知らないけど
かけがえのない
優しさに包まれて

遠回りをして気がついたのは
ごまかしてもささくれはずっと痛むこと
傷口を癒す絆創膏は
意外とシンプルな言葉でいいこと

ひとつふたつ数えて歩く
笑顔と涙の数
無くさないように
拾い集めて
ずっとずっと握りしめて

小さなやさしさを束ねてさ
大きな花束に変えて
チクリと傷口が痛んだらまた
その花の香りで思い出して
ひとりぼっちじゃないからさ大丈夫

世界中探してもみつからない
ひだまりに寄り添いながら
名前のない日々の幸せはまだ
正しいのかどうかは知らないけど
かけがえのない
優しさに包まれて

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