中村美律子
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人それぞれに – 中村美律子
いのちの限り 燃え尽きる 恋もあり怨(うら)みを込めて あきらめる 恋もある人はそれぞれに 人はそれぞれに運命(さだめ)の川に 身をまかせ別れを唄う あゝ風を知る むなしく燃える 夕焼けの 淋(さみ)しさよひと恋しさに 独り身は 泣けもしょう人はそれぞれに 人はそれぞれに未練の炎 消せもせず憎しみい抱(だ)く あゝ時もあろ ただひたすらに 追いすがる それも恋無情に負けて 世を拗(す)ねる それも…
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女の情話 – 中村美律子
そうよ 泣き濡れて 恋は終わったの抱いてと言えば 言えたのに馬鹿ね わたしって…結ばれなかった人生が 今はせつないあの時もっと素直になれば 明日(あした)も逢えたのに立てないくらい 酔いたいのまぶた閉じれば あなたが浮かぶ…女の情話 そうよ いつまでも 指が憶えてるあなたの名前 窓に書く馬鹿ね わたしって…結ばれなかった人生が 今はせつない悔やんだ日々もかけがえの無い 倖せだったのにあとから気づく…
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晩酌 – 中村美律子
細い暮らしに 灯(あ)かりをともしこころ寄せ合う 酒がある注(つ)いで注がれて 労(いたわ)りあって浮世七坂 越えてきた今夜は飲もうか なぁお前交わす盃 晩酌 口じゃ言えない 男の本音こぼす情けの 酒がある陰に日向に 支えてくれるそんなお前に 惚れたまま今夜は飲もうか なぁお前こころ触れ合う 晩酌 楽に生きれぬ この世の運命(さだめ)明日(あす)を語らう 酒がある泣いて笑って 寄り添いながら命かさ…
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ふうふ – 中村美律子
縁(えにし)の糸に この手をひかれ心を結んだ 夫婦です今じゃ思い出 涙の川もともに越えて来たふうふ ふうふと 云いながらのぼる二人の 絆坂 男は空を 見上げるけれど女は小径(こみち)の 石を見る転ばないかと 心配なのよあなた気をつけてふうふ ふうふと 云いながらのぼる浮世の 苦労坂 咲かせましょうね もうひと桜(ざくら)女房はうぐいす 春を呼ぶ情け灯(とも)して よりそう旅路これもエンヤコラふうふ…
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親不孝伝 – 中村美律子
欲しい欲しいの 児じゃないが飯盛り女の お母ァが逢いたがってる 泣いてるときけばやっぱり 辛くなる生まれ越後は 捨てた越後は 親不知 「にいさん 盥(たらい)渡しって知ってるかい産湯を使う盥のことだがその盥の儘 里子に出されたのが俺だァ親の味も情も知らねェだがね 人の道は知ってるよ誰が教えてくれたのか? お天道さまだよお天道さまだけは俺を見捨てたことがなかったよ」 親のあと追う 雁みればやり方 仕…
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酔いしぐれ – 中村美律子
酒場どおりに そぼ降る雨はお前の涙か 懺悔(ざんげ)の粒か詫びりゃチクリと 胸を刺す酒の水面(みなも)に 泣き顔が浮かんで揺れる 酔いしぐれ 運命(さだめ)哀しい 浮世の風もあなたとだったら 寒くはないと言ったお前に 背を向けてひとり願った しあわせを悔やんで呷(あお)る 酔いしぐれ 花が散るよに ネオンが消えりゃ未練の残り火 ポツリと灯(とも)る夜も更けゆく 居酒屋で酒の水面の 面影に瞼(まぶた…
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愛染のれん – 中村美律子
男は一途に 夢を漕(こ)ぎ女は優しく 舵(かじ)を取る祈願千日 水掛不動(みずかけふどう)やっと叶った 二人のお店トントンとんぼり 法善寺夫婦割烹(めおとかっぽう) 愛染(あいぞめ)のれん 亭主(あんた)が板場の 主役なら私はもてなす 恋女房演歌横丁 涙を切って苦労買いましょ 二人の絆トントンとんぼり 法善寺迷う道ない 提灯(ちょうちん)あかり 時節(じせつ)が浪花を 七変化(しちへんげ)変わらぬ…
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明けの明星 – 中村美律子
泣く日笑う日 いろいろあるとそっとつぶやく ひとり言眠れぬままに 見上げれば明(あ)けの明星(みょうじょう) 明々(あかあか)と負けたりしない 今は つらくても涙ぬぐって 涙ぬぐって 生きて行(ゆ)く 好きと言えずに 別れた人の後ろ姿の なつかしさ心に残る 面影を明けの明星 映し出す元気でいれば いつか また会えるそっと思い出 そっと思い出 抱き寄せる 人と幸せ 比べてみてもつらいだけです なおさ…
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銀の雨 – 中村美律子
名なし宿なし 甲斐性なしと微笑(わら)い流せる ひとが好き口の悪さは その裏がえし赤いちょうちん 浮世坂「あなた…」いいわね 寄り道も外はにわかの 銀の雨 人のご縁は つながるように出来ているのね いつの世も肩を並べて お酒に酔って口の滑(すべ)りも うれしくていつか故郷の あの歌に雨も合いの手 銀の雨 使い古しの お店の傘を借りて手にして たわむれてそうよまだまだ 相合い傘もきっと絵になる 私た…
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命の花道 – 中村美律子
渡る世間の 身を切る寒さ弱音吐いたら 苦労が笑う 苦労が笑う夢は夢でも 叶わぬ夢をエンヤコラ ドッコイショ叶えてみせる いつの日か飾る 飾る 命の花を 花道を 言葉なくても 目を見りゃ判る惚れりゃ尚更 心が見える 心が見えるあれは祭りの 太鼓の音かエンヤコラ ドッコイショ路地から路地に 鳴り響く続く 続く 命の花が 花道が 雨に明日が 隠れていてもやがて日が照る 朝日が昇る 朝日が昇る生きて一生 …