中村千尋

  • あたしが向いた方が前 – 中村千尋

    あたしは誰にも必要なくて狭い部屋だけが居場所窓には茜色 カーテン引いて世界に蓋をする 水槽のメダカ見つめていたら日が暮れてたような1日もでも無駄じゃない あたしが向いた方が前なの何にも出来なかった今日も大切なカケラになる痛みと向き合った涙はいつかあたしだけの歌にするからさ あなたは誰にも必要ないと言う人はあなたにはいらないさよなら 何にも手放さないでそのままでいればいい 世界を隔てるための扉実は世…

  • まりって誰よ – 中村千尋

    あなたって 嘘つくとき瞬きが増えるねでも嘘つくの 私を失わない為でしょ?なけなしの期待が虚しい さっき来た電話 あなた何で出なかったの?よそよそしく 仕事の話だって伏せた携帯ちらり見た画面の名前 まりって誰よ 23時に何の用事?まりって誰よ あなた以外にいらないのにまりって誰よ 何で私じゃ足りないのねぇ、まりって誰よ 最近さ 前みたいに腕枕しないね離れて眠るベッドは 一人で眠るより冷たい空が白くな…

  • 黄色い線 – 中村千尋

    「ほんと迷惑だよね」疲れたヒールの女が言う「明日も早いのに…」って舌打ち サラリーマン アナウンスの声少し震えて聞こえた気がした「発車するまでもうしばらくお待ち下さい」 黄色い境界線で終わったあの人の続いてくあたしたちの未来 遅れた電車に怒るほど 白状じゃないけど知らないあの人の為に涙は出ない時間つぶしに Amazonプライム見ているあたしはねぇどこかおかしいですか?何が正しいんだろう 「生きたく…

  • スポーツブラジャーの歌 – 中村千尋

    あの日交差点信号待ちしてたら目の前の白いブラウスに浮かぶラインどうしてなんだ僕はセクシーな下着が好きなのに釘付けになったんだ新しい扉開いた あの子のブラウスから透けて見えるのはスポーツブラジャー スポーツブラジャーこだわりなのかそれとも趣味なのかスポーツブラジャー スポーツブラジャー ある日軒下 雨宿りしてたらとなりの濡れたTシャツに浮かぶラインどうしてなんだまた出会ってしまうとは運命なのかもう目…

  • 美容室怖い – 中村千尋

    あそこはどうも みんなオシャレでどんな服着て行けばいいか迷う あたしはどうも 臆病すぎて予約の電話さえも勇気がいる まるで魔界への入り口あえて壁に生やしたオシャレ蔦が行く手を阻んでるついにドアを開いたら指名? 何それ選ぶ立場じゃない試してる? 美容室怖い見たことないハサミ生きたまま帰れるのかしら美容室怖い「どんな風にしますか?」思い切って言おう「石原さとみに…」(笑ってんじゃねぇ!) 見渡すかぎり…

  • 夕立 – 中村千尋

    はじめての今日なのに使い古したような空気ため息は湿度上げて泣き出した鉛の空 誰かが傘開く予定調和の街似てる後ろ姿に息を呑む 憧れと言えないまま 過去にしたあなたの変わらない影突然の夕立 制服濡らし 振り返って笑うだめね…雨の日は 傘を打つ音以外に聞こえなくなっていく呼吸するのも忘れて立ち尽くしたバス乗り場 確かにふたり見たあの日あの場所で土砂降りの中の光を 思い出に出来ないまま繋ぎ止めてたのは 変…

  • 王子様は迎えに来ない – 中村千尋

    あなたの事知らないけど高収入高身長顔もタイプ ドストライク王子様見つけた! アプリの中 星の数の人がいるのに ほらあなたなぜか探し当てたこれは運命でしょう? おとぎ話 夢物語起きながら寝言 言ってたの私 王子様は迎えに来ない 何の努力もない私にたどり着く前に 他にいい人見つけるわ王子様は迎えに来ない待つことしかしない私をわかってる本当は でも夢を見させてよ あなたの事知らないけどこれから知りたいよ…

  • 春の猫21 – 中村千尋

    若葉が芽吹き出す頃私 春の猫澄ました顔していても持て余してるの 日照時間が延びて私 春の猫涼しい顔していてもほとばしる汗を 夕日が沈み 星がキラリふと目が合った あなたにフラリ抱きしめてよ やめてやめてやめないでよねやめることをやめないでやめてやめてわかるでしょ?私のやめてはやめないで 朝日が眩しく照らす今日も春の猫となりで眠るあなたにうんざりしてるの 違ったみたいあなたも走れ!春の猫桜並木揺れる…

  • ごめんねカレーうどん – 中村千尋

    幽霊って白い服って決まっているの?ホラー映画みて疑問に思ってた 幽霊って白い服って決まってるのねほら、経験しないとわからないからさ 生前よく こぼすあたし毎度怒られたあなたに鬱陶しかったけど 今懐かしいよ ごめんねカレーうどんたまに作ってくれた美味しいってちゃんと言えばよかったなだめだねカレーうどん久々作ってくれただけど食べられないよこんな服じゃ 幽霊ってあなたの目には映らないのね?何となくわかっ…

  • もくじBOY – 中村千尋

    おしゃれなレストランも あなたの自慢話で憂鬱スープが冷めちゃうよ その話まだ続けるの?過去の栄光は過去のもの あなたの歴史に興味ないわ心の中であだ名をつけた あなたは「もくじBOY」 しょうもない見出しばかり並んだ1ページ目でだいたい分かった もくじBOY 読む気もないのにペラペラうるさいなもくじBOY あとがきまで透けて見えるわ そのコート高かったでしょ? 時計もいいのつけてるねブランドもので身…

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