上野大樹
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あの頃から – 上野大樹
上がった体温に頭がクラクラしている重たい体を起こして支度を済ます扉を開けたら街の一部になって何者でもないそれなりの人になってあいつの話はいつもくだらないジョーク本当か嘘かも分からないようなトークそれでも周りを次第に明るくしている羨む自分の欠けたとこモロに喰らって あいつは良いよなで始まる空気に何にも始まらないことに気づいて渦巻く不安に逸らした目線戻し行く宛てもないままで家を出た 忘れたくて忘れたく…
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水浅葱 – 上野大樹
いつまで経っても消えない君と愛したあの夏をずっともっと描いて続けていきたかった 滲んで消えかかっていた雨上がり夏の匂いが休日の僕をふっと巻き戻すから予定してたこと全部滅茶苦茶になってしまった 『遠くから見つめていないでもっとこっちおいでよ』振り返る過去にふっと言われている気がしている君の声で流れる 瞬きをしてる間に過ぎていくドラマみたいだ坂道は登り続きでいつまで経っても先が見えなくて怖くなる ハッ…
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アカネ – 上野大樹
歩き出したから止まれないんじゃない進みたい道が君にはあるだろう誰かのエールも誰かのヤジも聞かなくったって別に歩けるだろ もしもの話がしたいんじゃなくて心の全部を放って欲しいんだよ信じることより疑うことより他に感じるものが君にはあるだろう 茜色に染められた君の後ろ姿は 美しい触れてしまったあの日から鼓動の速さがおさまらない 雨が降っている傘をさしている当たり前のようで僕らは狂ってる虹がかかってる閉じ…
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夕凪 – 上野大樹
時間は止まったまま静かに動き出した揺れながら向かう先は誰にもわからない場所 時代は移り変わり何度も人は止まるこの景色も去年と大分変わってしまったな 数ある中から自分で選んだこの道さえも愛せなくなってる 夕凪の街には孤独の雨が降ってやまない鼓動のリズムも狂って、私たち波のよう終幕の朝には全てが元の姿で滲んだページにまた戻った いつもの臆病風は私をかき乱していざ歩くとバランスを崩してはよろけてしまう …
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フィルム – 上野大樹
もう何もない、迸るよな不安の続きどう転んでも、気にしないよう強くいよう 風の音が強くなるきっと暫くは収まらずに一日が過ぎる暗い部屋で考えても暗いことばかり考えてしまう もう何もない、そう思えてくる部屋の片隅どう悩んでも、出ない答えを懲りずに探す 色のない日々だとは思ってないけれどどこにでもあるようなそれがない暗いことを考えてもいいことがないことわかってるけど 嘘みたいに時間が止まって感じた週末の空…
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航る – 上野大樹
宇宙船が止まった僕の前にそっと乗り込んだらこの世界に辿り着いていたんだあの日 時間はかかって細い目を擦って遠回りの果ての最後の扉を今目の前に 見えかけの答えに僕らはなぜか怖くなってしまい見えないようにしていたんだ、まだ探してたいから 夏の終わり思い出したあの街の景色匂いを時代なんて変わってしまっても本当は何も変わらない賢いふりしたって格好つけて生きていたって何も楽しくなんかないよもう一度思い出して…
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彼方 – 上野大樹
寂しい時に誰かを思ったり悲しい夜に時間が止まったり前を向こうと思っていたのにまだ此処にいたくて 優しい君は全てを解っててそれでも何も言わずにいるからいつまでもただ過ぎてく時間だけど嬉しかったんだ 明日がものすごく遠くてやりきれなくても どんなに深い孤独でも知らないより知ってた方が誰かに優しくいられる気がするあの時の君みたいに 知らないことはまだまだあってさそれを知ろうと途方もなく歩いてるどこへ向か…
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線に沿って – 上野大樹
この街の景色は君の目にどう写るの変わらない日々に色褪せる何かでも時間をかけて大人になったそれでも覚えてる泡になる日々の全てを 窓際曇った朝方の空は白んで疲れが見えたため息がひとつまたひとつと空気を揺らす水際 心の奥の方で優しく吹いた風に素直なままでいられたらいいな ぼやけてる日々に手を握る君の視線の先には強さがあってねえ、離したくないもの壊したくないこと守れるだけの自分でいたいよ、ほらいつもよりす…
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海街ち – 上野大樹
泣いたり笑ったりしていた頃が懐かしい溢れる気持ちにいつも正直に生きていた 水平線 波を辿れば急ぐ君に会える生まれた場所忘れる暮らしもうきっと2度と戻れない遮ることのない夕陽が部屋中を包んで 外から響く車の音が窓際から寄り添ういつもの音、一人暮らしの変わらない生活もしもここを出るなら次はもっと遠くへ 変わる街並み 増える知り合い歳を重ねて移ろう日々にほんのすこし前に戻りたいなんてことを考えている 泣…
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白花 – 上野大樹
それは突然やってきた白い花目も向けられないほどやつれた花代わる代わるに笑ったり怒ったりそれで楽になるならそれでいい ねえいつまでも私のそばにいてどこまでもあなたといさせてありがとうも伝え切れてないのにどうして選ばれたのはあなたなの 心の方からすこしずつ剥がれて気付かないうちに口も動かない淵私がいたらあなたはもっと辛いのねこの部屋に流れる 2月の匂い ねえいつまでも私のそばにいてどこまでもあなたとい…