三田寛子

  • 少年たちのように – 三田寛子

    女の胸は春咲く柳 逆らいながら春咲く柳私は髪を短く切って 少年たちを妬んでいます二つの答えを両手に分けて 季節があなたを困らせている恋人ですか サヨナラですか 私について問いつめる ともだちと答えてはもらえませんか裸足でじゃれてた あの日のように 春は咲き 春は行き 人は咲き 人は行くこのままでいられたら 嗚呼 でもそれは春は降り 春は降り せかされて せかされてむごい別れになる 少年たちの会話を…

  • 恋はメレンゲ – 三田寛子

    あれはダンスパーティの夜あの子の眼に魅きつけられ一緒に踊ったあのメレンゲふるえが止まらなかった フルーツカラーのお月様もキラキラ輝くお星様も一緒に踊ったあのメレンゲ二人は恋におちた 恋はメレンゲ たった一度のダンスでロマンスの花がさく 恋はメレンゲ リズム魔法 いつの日か子供達に二人のロマンス聞かれたら一緒にきっとこう言うだろうメレンゲのせいだと 恋はメレンゲ たった一度のダンスでロマンスの花がさ…

  • 駈けてきた処女 – 三田寛子

    紺色の制服に包んだ体は真白い雪割草です花まつり 春まつり 地面を揺るがせざわめきが届いてきます はにかみ屋さん 出ておいで怖がり屋さん 手のなる方へ草萌える春を踏み裸足のまま駈けだしましょうか処女の森を 16 だから恋初め16 今はなり始め16 だから恋初め 校庭に陽炎がユラユラ立ちます胸をだく私囲んで恋まつり 夢まつり 準備が終わって幕あけをひとり待ちます 恥じらい屋さん 出ておいでお天気屋さん…

  • 夏の雫 – 三田寛子

    どうしたらいいの 海になれない 私は雫(しずく)どうしたらいいの 海に行けない 私は雫(しずく) 去年の水着 胸がきついの水玉模様 滲(にじ)んでいるわ 貝に巻かれた ビーナスみたいに鏡の前で 微笑(ほほえ)んでみるの 攫(さら)われそう 誘われそう 遥かな潮風刻(きざ)まれそう 奪われそう 激しい口づけ Kumi and Rumi海の少女とあなたは今頃Love and loveサーフ・ボードで揺…

  • 20才の前で – 三田寛子

    かなわない 夢だからきらめきが あるのだとあなたの 微笑みにはじかれた 願いごと いつの日か この恋にサヨナラを する時もあなたは そう云ってピリオドを 打ちますか つれない 言葉ほど悲しく 心を 燃やすのをあなたは 知っていますか 20才の前で 忘れることのむずかしさを 知りました 苦い思い出を かくす化粧もこうして上手に なるのですね 意味もなく 前髪をかきあげて 見せるのはあなたの まなざし…

  • ときめき おぼろ – 三田寛子

    うすむらさきの夕日のアベニュー人指し指で髪をいじるの 私小説が始まるみたいぎこちない眼差しがあなたの睫毛のすき間で揺れるわ ふわり ふわふわ……ときめき おぼろ自然なリズムで呼吸ができない幾千分の1秒の恋そっと濡らした唇に あなたが近づくの かすかな吐息残したままでためらいがちに二人離れた セーターじゃすこし寒いのに風邪をひきそうなほどブラウスの衿が汗ばんでしまう ふわり ふわふわ……ときめき お…

  • ひとりぼっちのクーデター – 三田寛子

    あゝあゝあゝあーひとりぼっちのクーデター 笑っちゃうわね幸福(しあわせ)のパズル目隠しされても夢中で解(と)いてるこの街誰もそれぞれが描(えが)く愛の形って不揃いだからはみ出した尖端(とこ)で怪我するのにね 孤独(さみしさ)怖くて見せかけだけでも虚しさ眼を伏せしがみつくHappiness違う……違う……何かが違う 人恋しくて 人恋しくてガラスの部屋(へや)にナイフ投げたら誰かが私振り向くかしら嫌わ…

  • ふたりぽっち物語 – 三田寛子

    一人ぽっちの好きなあなた いつも空を見ている一人ぽっちの好きなあたし いつも夢を見ているの 風は夕なぎ テラスは けだるい暑さね椅子は離れているけど テレパシー Summertime dream, summertime dream,恋の季節が来たのね 私 憧れているのHappiness 甘い想い出づくりを 一人ぽっちで溜め息つくと 流れる雲のように二人ぽっちで始まる夏のドラマ 浮かんでくるのよ 本…

  • 色づく街 – 三田寛子

    今もあなたが好きまぶしい想い出なのあの日別れた駅に佇みあー 青い枯葉かんでみたの街は色づくのに逢いたい人は来ない母に甘えて打ち明けるにはあー 少し大人過ぎるみたい愛のかけら抱きしめながら誰もみんな女になる気がするのさよならはその日のしるしね 人に押されて歩く夕暮れあー あなただけがそこにいない愛のかけら抱きしめながら誰もみんな女になる気がするのさよならはその日のしるしね 街は色づくのに逢いたい人は…

  • ひとりぽっちの卒業式 – 三田寛子

    泣く気になれず微笑(ほほえ)んで卒業します あなたから泣く気もないのに涙ぐみ卒業させて あなたから 趣味が悪いですね あなたいつもお相手は 若い子ばかり今度は私より 下の少女というより Pretty little baby 個人教授は終わりですねアップルパイにミルクティーひとりぽっちの謝恩会外は夕暮れ外は木枯らし 泣く気になれず微笑(ほほえ)んで卒業します あなたから泣く気もないのに涙ぐみ卒業させ…

Back to top button