ミドリカワ書房

はじめての合コン – ミドリカワ書房

明日合コンに行く事になった
一人面子が足らなくなったとかで
急遽私に白羽の矢が立てられた
頗る憂鬱だ だったら断れば良い
なのに私は承諾してしまった
学生の分際で合コンにも出た事がないなんて
田舎の両親に申し訳ないと思ったからだ
……というのは嘘で 彼女が出席すると知ったからだ

一年程前から 私は密かに
彼女への想いを滾らせている
だけど彼女を我が物にしたいとか
そんな事はちくとも思っていない
彼女は彼女 誰の物でもないのだ
一緒にプールやお風呂に入りたいなとかは思うが
あんな清楚でおしとやかな彼女が合コンだと!?
きっと誰かに騙されたに違いない 何かの間違いだ

私がこの手で守ってあげなくては
そんな思いから 決意を固めたのだ
だけど早速後悔しまくってる
頗る憂鬱だ マジ断れば良かった
何故なら私はべらぼうな酒飲み
一旦飲み始めたら自制できなくなるのだ
そうして歌うのだ 浜田省吾を歌ってしまうのだ
お嬢様な彼女の前で赤ら顔のロックンロール 全ておしまいだ

彼女を守るどころの話じゃない
危害を加えてしまうかもしれない
今からでも遅くはないと思うのだ
断りのメールを打つべく携帯開く

「Eメール受信 1件」と表示されていた
ヘッドフォンでSHOGOを聴いていたから気付かなかった
……なんだあいつか 体を重ね合うためだけの女
「明日暇か?」と訊かれたので「忙しい」と返信した
やっぱり私は合コンへ行く
こんなふしだらな生活から抜け出すためにも
合コンへ行く 合コンへ行く

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