サンタラ

  • 六月のブルース – サンタラ

    その履き慣れた薄汚いブーツを今脱げたならどこまでだってつきまとうこの影もきっと外せるさ そしたら君の青い車を月夜の晩に盗んで誰も知らない街に着いたら電話してさよならだけ言うんだ Me and My shadow クリーム状の夕暮れの街Me and My shadow 逆立ちしても今にも負けそうこんな子供じみた発想など失くしたと思っていた 見知らぬ人の幸せと不幸の電波が飛び交っている何万本のリボンが…

  • 写真 – サンタラ

    東京の空 サイレンが鳴る本当のことは誰も口にはしないよ 明日になれば忘れてしまう二人して今笑った根拠さえ サンドマンが来る前にもう一度確かめたいよでも約束は守られないならそれもね ロマンスだよね 燃える赤い髪 グラスゴーの女若草を食んで喪失を歌うよ サンドマンが来る前にもう一度話をしたいよでも失くして後に気付くのもそれもね ロマンスだよね 東京の空 私は平気さあね どうかな?写真は苦手だよ貴重な一…

  • 美しい人 – サンタラ

    給水塔はその錆だらけの全身で抜けるような青空の下で気高く座る レトリックもプロットもない言葉搾り出して真っ赤な頬で君の前で俯き 少年のように 過剰な心配性は決まって損をする僕のそんな弱点を君はよくわかっていた 君が許してくれたから 生まれ変わった気持ち君が許してくれたから 薄いフィルターが外れた気持ち 双子のように過ごした日々はもう古い校舎のレリーフみたい 壁に貼りついたまま動かない過去 珈琲を数…

  • My name is Boogie – サンタラ

    少しくらいのジャンキーならこの両腕に抱えてあげるわろくでなしにもわりと縁があるの 夢見の悪いファドは丸めて健康なあの娘に預けておいで病んでいる君には刺激が強いみたい 太陽が睨んでいる万能のスパイみたいに首筋に追いつきそうなブルーより速く手を引いてよ バックビートでどこにでも行けるどこにだって行けるさ日没を越えたら私を呼んでMy name is Boogie なるべくいい子でいようとするから面倒は起…

  • 太陽 – サンタラ

    最近の私にはまるで珍しいことでもなくて覚えきれない記念日がまたカレンダー上で破裂した 身を守る本能として私が課した単純なルール肩越しに聞いた爆発音に振り返ることもない 真っ赤な果実に歯を立てる この部屋によく似合う時おりそのかすかな香り むしょうに恋しくなる真っ赤な果実に歯を立てる 傷口が血を流す手首を伝う冷たい水滴がどうしてこんなに愛しいんだろう? 熱帯性低気圧に弱いできそこないのアンテナが意味…

  • 好き – サンタラ

    シナモンを噛むのが好き冷たくない いやむしろ熱い熱帯の森に棲む獣のようで好き ラムの雫を噛むのが好き甘くはない いやむしろ苦い香りが舌を裏切って好きだから歪な君が好き なんて悪戯な手だろう 君はこんな私を掻き乱してタイダイの両腕が君をねだっているなんて悪戯な目だろう 君はこんな日々じゃ迷子になってしまう朝も昼も夜もいつでもさらわれていく 雨音が強くなるのが好き暗くはない いやむしろ明るい夏の足音み…

  • 思い過ごしの効能 – サンタラ

    強引な右折車に阻まれ立ち止まった交差点上起きた瞬間から感じていた何だかよくないタイミング小さく舌打ちでまた歩き出す 衝動は支配者の如く暴れまわっては案の定ここぞという時消えてなくなる 絶妙にずるくすり抜ける昨日泣いた理由なんて忘れた 私の中で渦巻いている矛盾なんかはもう慣れたし不当な扱いに牙をむくなんてこともう疲れたけど 真夜中の国道沿いで酔った頭をうなだれる固く握っていた左手ゆっくりとほどいてい…

  • 家出少年 – サンタラ

    夕陽の吹き溜まりこの部屋の暑さは香港映画のようだどうにかなっちゃいそうだ 机の上にはゆるんだピーナッツバター天気予報が今朝夕立を告げていたけど たくさん集めた写真を見せてよ私がまだ見たことのない人や景色の話をしてよ 覗き込んだら家出少年の顔の君ここらあたりでほら 二人は一番幸せなはず ベランダのカナリアが嫌いなものなら全部その嘴でつまんできれいに食べてくれる いつまでも終わらないナンセンスなゲーム…

  • Joy & Pain – サンタラ

    ベルベットの長いコートブルネットとブロンドいつも一緒 背中合わせの双子の姉妹Joy & Pain 毛羽立った古いブランケットすりへってしまった鉛筆あの頃からそこにいるのさ西陽の射す子供部屋Joy & Pain ほんのささいな出来事でいいから何かいい事ありますように涙を拭きなよ 私の友達可愛いマニキュアぬってあげるよJoy & Pain かじかんだ指先輝く南西のオリオン…

  • ROW THE BLUES – サンタラ

    アーケードは今寝静まるシャッターの前で突っ立ってる男は独りでお腹を空かしている空腹な男の姿はなんてロマンティックで惨めだろうこっちを見ないで通り過ぎてくれ 困った顔をした猫が言う慣れた手つきでカードを切る「あんたにとって今日は特別になる帽子があるなら丁度いい 目深にかぶれ」と猫は言う「良くも悪くも背後に気をつけて」 ようやくその気になったのに今更白けるなんて酷いスクリーンのヒーローはいつもまわりの…

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