ウラニーノ

ダンボールに囲まれて – ウラニーノ

ダンボールに囲まれて おれは死体のように転がってた
明日か明後日か 出て行く君の荷物の山
逃げ場のない小さな部屋 飽きるほど君を抱いたっけな
洗濯物の向こうがわ のぞいてるちっぽけな青空
何も感じない ただ見ていた ダンボールに囲まれて

ダンボールに囲まれて あたし膝を抱えて泣いてたの
入社4年目の夏 見事に外れた新商品 不良在庫の山
震える手で書いた辞表を夜露に濡れた窓ガラスに
ペタンと貼り付ければ ベランダの上空 まぁるいお月様
何も感じない ただ見ていた ダンボールに囲まれて

神様はいないんだろう きっといないんだろう
冷たい冷たいダンボールに囲まれて おれは あたしは 思った
「神様なんて絶対いない」

ダンボールに囲まれて ぼくは幸せを噛みしめてた
川沿いの高架下 野良猫と暮らすぼくの家
屋根に使ってるブルーシートは青空のようにきれいさ
ぼくを照らす電球は まるで夜空のきれいなお月さま
明日の仕事が見つかった 明日の仕事が見つかったんだ
明日も生きろと神様は言ってくれた

神様はきっといる ぼくのこと見ててくれてる
あたたかいあたたかいダンボールに囲まれて ぼくは祈った
「神様、ありがとうございます」

冷たい あたたかい ダンボールに囲まれて…

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