鹿内孝

  • 情熱 – 鹿内孝

    小指のつめを噛んで おまえはふるえていたまるで嵐の夜の 小鳥のようにぼくの波うつ肩に 細い手首をかさねそしてすこし眠ろう 朝がもう近い くちにはださない 男の気持ちを燃えてる躰で ぶつけてみたのさ生きてゆくかぎり この情熱おまえの長い髪に 誓うよ 愛しあう歓びを おまえも感じていたまるで近づく春の 予感のようにぼくの腕にぬくもる 白いせなかを抱いてそしてふたり眠ろう 朝がもう近い 言葉にださない …

  • 本牧メルヘン – 鹿内孝

    本牧(ほんもく)で死んだ娘(こ)は鴎(かもめ)になったよペットのブルースに送られて踊るのが大好きと言ってたあの娘がさびしさに耐えかねて死んだのさ ジョニーもスミスも泣くのを忘れて海鳴りに向かって歌っていたよ本牧で死んだ娘は鴎になったよなぜかしら誰でもがそう思う 本牧の夜ふけ頃にがめのコーヒー飲みながら思い出す あのことを恋をしたこともなく悩みもないのにあの店の片隅で死んだ娘を ジョニーもスミスもさ…

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