西川ひとみ

  • おんな恋挽歌 – 西川ひとみ

    ひと雨ごとに 夏が行(ゆ)き帰らぬこころ しずむ恋あなたの腕を 離さずにおんなじ夢を 見たかった「さようなら…」 お別れね花が散る散る 花が散るおんな恋挽歌 紅葉の里の 人ごみに逃れるように ひとり旅あなたの声も とどかない北行き列車 飛び乗った「さようなら…」 お別れねベルが鳴る鳴る ベルが鳴るおんな恋挽歌 小さな駅と 並木道いつしか町も 夕まぐれ消えゆく胸の ともしびか淋しくともる 宿灯り「さ…

  • 霧島連山 風が哭く – 西川ひとみ

    からくに岳から 高千穂へ命引きずり 逢いに来た燃えて奪うのが 恋ならば髪一筋も 焼き尽くすぐらりぐらり 心が滾(たぎ)る女 恋情(れんじょう) 風が哭く 白鳥(しらとり)山から 甑(こしき)岳ミヤマツツジが 紅く咲く一夜(ひとよ)抱かれたら もう一夜ただ狂おしく 咲き乱れはらりはらり 花びら散らす女 恋情(れんじょう) 風が哭く 新燃(しんもえ)岳から 中(なか)岳へ恋の炎が 這いあがる命燃やすの…

  • 不知火情話 – 西川ひとみ

    不知火(しらぬい)ともしに 帰らんね死んでもよかよ 今でもあんた生まれ火の国 女は熱か心は他人(だれ)にも 許してないの「あんた 逢いたか…」乳房(むね)の芯まで 乳房(むね)の芯までああ…逢いたかね 不知火(しらぬい)ゆらして 飲みたかね嘘でもよかよ もう一度あんた惚れてこぼした 女の涙球磨(かわ)川に流して あしたに生きる「あんた 切なか…」酔えば今でも 酔えば今でもああ…切なかね 不知火(し…

  • 女郎花 – 西川ひとみ

    一夜かぎりの 旅路の人と知って抱かれた 私なのなぜか気になる 港の船がつらい別れを せきたてる出船 入船 渡鹿野島(わたかのじま)に今日も花咲く 女郎花 こんど逢う日の 約束さえもせがみきれずに 切れた恋想い出させる 波止場の日暮れ赤い灯台 灯がともりゃネオン枕の 渡鹿野島(わたかのじま)に今宵花咲く 女郎花 人の噂は 嵐の海に捨てて今日から 生きましょう化粧姿を 鏡に写しすこし濃い目の 紅を引く…

  • ふるさとの…星 – 西川ひとみ

    星ひとつ きらきらと 夜空に光る故郷(ふるさと)の 母さんを 想い出す夕焼け小焼け 帰り道一番星 空見上げ明日(あした)も 晴れるねと 笑ってた母さんに もう一度 会いたいな 流れ星 またひとつ 夜空に落ちる二人して 手を合わせ 祈ったねあの時何を 願ったか忘れたけど 消えたけどつないだ 手の温み 覚えてる母さんと もう一度 歩きたい 守り星 ホラひとつ 優しく光るついてくる 母さんの 星ひとつメ…

  • 絶唱…北岬 – 西川ひとみ

    雪の海峡 別離(わかれ)の北岬私だけ この世に 置いてったあなた ネェ そこから呼んでいる 私が見えますか折れる心を 抱きしめて…生きてきた ネェあなた あなた、見えますか? 私は元気にやってます。周りも良い人達ばかりで、新しい暮らしにも慣れました。どうにか、やっていけそうです。でも、どうしても どうしても 淋しい時は泣いても良いですか…あなた。 声を限りに 海空鳴くカモメ枯れるほど 死ぬほど 泣…

  • お祭り小町 – 西川ひとみ

    祭り太鼓が ドドンとひびきゃ鼻緒キリリと お祭り小町三歳(みっつ)で神輿を 追いかけて笛と太鼓が 子守唄ソイヤ ソイヤ ソイヤ…バチを両手の バチを両手のエエ… 艶(あで)姿 男勝りの 下町育ち今じゃ噂の お祭り小町小菊に結んだ ねじり花白いうなじに 光る汗ソイヤ ソイヤ ソイヤ…右へ左へ 右へ左へエエ… 蝶と舞う 恋の誘いは 掃くほどあるが風にゃなびかぬ お祭り小町惚れたのハレたの 男衆ニッコリ…

  • 玄界灘に春が来る – 西川ひとみ

    波がドンと来りゃ 玄界灘に春が来るきっと私にも 春が来る十九 二十歳の 恋じゃなか一生一度の 命恋アンタ アンタに 逢いたかね…ウチは信じて 春を待つ 風がパッと止みゃ 玄界灘に春が来る暗い港にも 春が来る頬にこぼれた この涙冬の海より しょっぱかねアンタ アンタに 甘えたか…波が泣かせる 子守唄 花がポンと咲きゃ 玄界灘に春が来る海の向こうから 春が来る白い鴎を 引き連れて笑顔みやげに かえり船…

  • 海峡冬つばめ – 西川ひとみ

    海峡吹雪 波また波に翼を濡らして カモメが飛んだわたし馬鹿よね ためらいながら泣いてばかりじゃ 明日もないあなた無しでは 死んだも同じ追ってゆきたい 冬のつばめよ 波打つしぶき 氷雨となって小指の先まで 女を泣かす髪の乱れを 手櫛でとかし迎え来ぬかと 紅をひくあなた以外に もう愛せない夢はかげろう 冬のつばめよ 最果て港 凍てつく心あなたはこの海 超えたでしょうか出船入り船 行き交うけれど恋は二度…

  • 風伝おろし – 西川ひとみ

    霧のむこうの 見えない顔は見たい会いたい 父(とう)さまか山肌駆けてく 朝霧の滝の花火に かげゆれる御伽(おとぎ)・景色か 御浜町(みはま)の風伝おろし 雨も夜露も うとまず受けて見たい会いたい 父(とう)さまをたずねてここまで 三重の郷峠・山坂・熊野灘(くまのなだ)うわさください 御浜町(みはま)の風伝おろし かかる朝霧 あつめて抱けば見たい会いたい 父(とう)さまの姿に変わると 風の声夢があし…

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