花華かおり

  • 漁り火情話 – 花華かおり

    各駅停車で 揺られて着いた潮の香りの 名もない港女が一人で 旅をする切ない思いが 分かるなら海鳥(とり)よ 海鳥よ 泣かないで…つらい別れを 泣かないで 身を切る思いで 別れた人にどこか似ている 港の男波止場につないだ この舟は未練を引きずる 涙舟波に 波に 揺れながら…明日(あす)へこぎだす 夢もない 海鳴りばかりが 心をゆする沖の漁り火 もう消えるころいいことばかりを たぐりよせ想い出数える …

  • 鑑(かがみ) – 花華かおり

    空を映(うつ)して 流れる河は清濁(せいだく)合わせ 呑み込んで真理(まこと)求める 男の夢を河を鑑に この人生にひとつ足跡 ひとつ足跡 残してみたい 人に踏まれて 名もない草も春にはかわいい 花となる腹におさめた 悔しさ憎さ花を鑑に 忍んで耐えりゃいばら道でも いばら道でも 歩いてゆける 天と大地の 間(はざま)に生きて人には人なり 人生(みち)がある山の高さを 競(くら)べるよりも山を鑑に こ…

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