美根

本当は人魚 – 美根

いつもなにかと 力及ばず 追い抜かすこともできない
何がいけない 分からない いっそ泳いで渡りたい

まわりはうまく世を渡り 毎日をこなしてく
のろまな姿を笑ってくれよ 私は目指す場所へ行く

嗚呼 何故 笑い合っても不安で怖いんだろう
嗚呼 何故 会話の途中 息がちゃんと吸えないまま

本当は人魚 エメラルドの鱗
のたうち回ろう 進め海原まで
本当は人魚 涙濡らす鱗
ざらり 砂まみれの引きずる尾ひれ
地上に生まれただけ 生きる世界に辿り着けばいい

人混みと音に溺れ 沈むビルの間で
君だけは笑わないで 這い上がる術(すべ)教えて

嗚呼 何故 抱き締め合っても 溶けてすり抜けていく
嗚呼 何故 囚われてるの 飛び込むならきっと今

本当は人魚 エメラルドの鱗
身をよじらせて ぎこちない呼吸で
本当は人魚 光揺れる鱗
ざらり 剥ぎ取られても あがく尾ひれ
地上に生まれただけ 痛みは全部 ひとかきに込める

本当は人魚 海に溶ける涙
憧れたのはどこまでも深い青

本当は人魚 エメラルドの鱗
のたうち回ろう 生きるために進め
本当は人魚 私だけの鱗
ざらり 分かってるさ 不器用な尾ひれ
地上に生まれただけ 目指す世界に辿り着くまでは

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