美山純子
いさり火 – 美山純子
ひなびたままの 船着き宿に
身を寄せながら ふく涙
辛い辛い 私を抱いて
あなたその手で その胸で
いさり火 海鳴り 夏まぢか
カモメの群れを 追い立てるよに
前ぶれもなく 雨がふる
寒い寒い 心も肌も
あなた思えば 尚更に
いさり火 桟橋 傘もない
湯あがり後の この淋しさを
包んで欲しい そばに来て
辛い辛い 焦がれる程に
まして女の ひとり寝は
いさり火 泡沫 波まくら
ひなびたままの 船着き宿に
身を寄せながら ふく涙
辛い辛い 私を抱いて
あなたその手で その胸で
いさり火 海鳴り 夏まぢか
カモメの群れを 追い立てるよに
前ぶれもなく 雨がふる
寒い寒い 心も肌も
あなた思えば 尚更に
いさり火 桟橋 傘もない
湯あがり後の この淋しさを
包んで欲しい そばに来て
辛い辛い 焦がれる程に
まして女の ひとり寝は
いさり火 泡沫 波まくら
桃を二つ 買って帰ったあなたと 一つずつ 食べようと思って狭い部屋に 西日がさしてあなたは いなかった 夕暮れの手品みたいにこんなはずじゃなかったわ誰だって 明
もう誘わないでと あれほど泣いたのにこんな雨に濡れたまま 待つなんてずるいひとまた眠りもせずに 帰ってゆくんでしょならば誰かひとりでも 幸わせになさいな妬んで恨