篁沙をり

  • 忘れ花 – 篁沙をり

    あなたと最後に旅をして泣かずに身をひくはずでした愛しても 愛してもさだめ哀しい 忘れ花今夜かぎりの逢瀬の宿で別れ化粧の 口紅をひく わたしを女にしてくれたあなたがいまでは憎らしい尽しても 尽しても真心とどかぬ 忘れ花可哀相だとおもうのならば何も言わずに抱きしめて 添い寝のまくらに忍びこむつめたい憂き世のすきま風縋っても 縋ってもたどる明日ない 忘れ花せめて遠くで あなたの苗字そっと名乗って暮らした…

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