橘友雅(井上和彦)
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空蝉の恋 – 橘友雅(井上和彦)
宵待の神の留守に忍んだ部屋さらさらと ほどく帯は瑠璃の恋文闇を舞う指は白くはかなき蝶つまさきが細くしなり春三日月 床に散った狩衣が抜け殻に見えて…醒める… ひとり寝の夢 虹を抱くように遠くて美しい君を 胸に閉じ込める空蝉の恋よ 遠雷に目を覚ませば夜の帳爪跡の赤い橋を風が渡る 罪のなき君の微笑みこの胸の琴線を…はじく… 五月雨の夢 虹を待つようにそっと唇をよせたい 君の花しずく刹那の永遠よ ひとり寝…
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月下美人 – 橘友雅(井上和彦)
翠色の羽根戯れに鳥を追って森深く迷い込んだ恋このまま帰れなくなろうか はしゃぎ疲れて微睡る君夜風に身をまかせ月光浴 退屈な人生が贅沢なさみしさを知るもう二度と孤独と遊戯べない 無邪気な足もとに跪きつま先に頬よせればああ 桜桃の実の固さで 漆色の闇今夜の月は美しいこの胸の闇はより深く君はよりあざやかに光る ふいに目覚めて微笑う君枯れない永遠の月下美人 一瞬の永遠に何もかも賭ける愚かで幸福な男がここに…
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白檀・遊戯 – 橘友雅(井上和彦)
紅蓮の満月 閉ざした瞳に見せてあげようか琥珀の涙で 君を切なく泣かせてみるのもいいね夜は長い… 白檀の香りで操る夢現身はただ絵空事螢を集めて部屋に放せば麻絹の蚊帳には光の天の川 薄紅かげろう 無垢な素顔で眠ってしまった深紅の楔で 結び合うよりも何故か深い絆にひとり苦笑… 白檀の香りが誘う恋その頬に今くちづけを脱ぎ捨てた狩衣風に広げて君の背にかければ蝶の化身となる 白檀の香りで操る夢現身はただ絵空事…
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緋色の涙の女よ – 橘友雅(井上和彦)
紅い涙 流す女が 居ると言うどんな恋に 汚(けが)れなき胸 痛めたのか 淡い 幾重の衣 脱がすよりも心縛る 想い出 ほどきたいね 緋色(くれない)の想い あふれる女(ひと)よ夢と呼べないその夢を 見せてくれないか君の哀しみは 君のものだよひたむきに 生きた 証 爪を立てて 三日月(つき)は夜空を 恋しがる光るだけの 星屑よりも いじらしいね 恋を 微笑みながら 捨てるよりも我を忘れ 泣くのは 強さ…