月亭可朝

かつらの唄 – 月亭可朝

男のハゲ頭は精力家、ハゲ頭に悪人なしや
ハゲ頭は愛嬌あるで、
それでもかつらをようかぶる
出勤ギリギリ前に起きてきて、えゝ加減のりつけてぺったんこ頭にはって、
走るもんやから、石にけつまづいた途端に落ちたある。
あわてて拾うてつけたんはえゝけども、
砂がついたまゝひっつけたもんやから、
頭がヒリヒリヒリヒリヒリヒリしてからに、
風向きに走ったら、前がパクパクパクあいたりして、階段かけ上がって
電車に乗りしなドアに頭をハサまれて、あわてて体をうしろへひいたけど、
身体はホームに残ってるのに先頭だけ東京へ行ってまいよった。
なんちゅう電車かと調べてみたら、
「光号」やったやおまへんか。

女のハゲ頭はめったにおまへん。それでもかつらをようかぶる。
文金島田の花嫁さん乗せてタクシーが走ってた。
その運転手さんの荒いこと。スピードあげては信号の手前で、キイーッ、
急停車、再びスピードあげて信号の手前で、キイーッ、急停車、
調子に乗って走ってる時、車の前に、こどもさんがひとり横断しかけた。
あわてて運転手さんがブレーキを、キイーッ、!
幸いこどもさんのちょっと手前で車は停まって、こどもさんは無事やった。
ところが反動というものは恐ろしいもんで、急停車の際に、花嫁さんが、
体を前にのめり出した そのトタン。
頭のかつらが飛んでもた。
「イヤ、かなんわこんなんホンマにかなわんわ、
うちらホンマにどないしょ」
といゝながら、フト前見たら運転手が文金島田で
ハンドル握ってるやおまへんか。

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