愛本健二

  • 月の舟 – 愛本健二

    分かっていても 哀しくなるの逢えない夜は 永すぎて夢の中では 許してほしい罪な女の わがままを私一人の あなたを探し闇を漂う 月の舟 昨夜(ゆうべ)の名残 抱きしめながら心にたぎる 恋炎何度背中に 私の名前刻み付けても 叶わないどんな世間の 冷たい風も耐えて沈まぬ 月の舟 傷つくことも 怖くはないの誰より愛しい 人だからもしもあるなら 許してほしい二人添いたい 次の世で私一人の あなたを探し闇を彷…

  • 恋おんな – 愛本健二

    心の風穴 木枯らしがふるえ哭(な)くよに 吹きぬける寒さしのぎの ひとり酒乳房(むね)の谷間を 濡らすだけあんた…あんた…ねぇあんた…‥帰っていいのよ いつだって惚れた男の ぬくもりをそっと抱いてる 恋おんな 姉(ねえ)さん気取りの 強がりを悔やみきれない 長い夜愛をいっぱい つめ込んで白いセーター 編みあげたあんた…あんた…ねぇあんた…‥帰っていいのよ いつだって風が裏木戸 揺するたび夢もとぎれ…

  • こころ詩 – 愛本健二

    愛という字を よく見てごらん心を受けると 書いてある受けたまごころ 温めあえばやがて芽ばえる 愛おしさめぐる季節を 高らかに謳(うた)いたい 変わらぬ愛を 謳(うた)いたい 想うひと文字 よく見てごらん互いの心と 書いてあるそっとより添い 微笑みあえばいつかこころも 円(まる)くなる合わせ鏡の 胸のうち謳いたい 言葉をつむぎ 謳いたい 息という字を よく見てごらん自分の心と 書いてある迷うときには…

  • 母さんの星 – 愛本健二

    なんにも変わりはないけれど 今日も倖せでした ありがとうあかねの空に いつの日も優しい光を たたえてる…一番星は母さんの星…聴いてください 僕の歌心をこめて 唄います 言葉にならない哀しみの あること幼いぼくは 知りました誰あれもこない 参観日この時ばかりは つらかった…一番星は母さんの星…誉めてください 彼方から挫(くじ)けずぼくは 生きてきた 淋しいあの頃埋(う)められる ものならも一度母に …

  • やっぱり有紀子の負けでした – 愛本健二

    胸の奥では いつだって燃えているのよ そのくせに逢えば意地張り 澄まし顔好きと言えない いくじなしやっぱり私の 負けでしたやっぱり有紀子の 負けでした あなたなんかに 用ないと拗ねてしらけて 嘘ついて無理に別れた そのあとですぐに逢いたく なっちゃうのやっぱり私の 負けでしたやっぱり有紀子の 負けでした ひとり暮らしが 身に沁みた女ごころの たよりなさいくら強がり 言ったってあなたなしでは 駄目な…

  • 北の酒 – 愛本健二

    俺のためだと 身を退いたお前のことが 気にかかるあれから独り ながれ旅ここはさいはて みなと町骨の髄まで 染みるぜ問わず語りの 北の酒 波に浮き寝の 漁火におもかげ揺れる 波止場道あの時あとを 追ってたら愛の暮らしが あったろにみれん火がつく 辛口問わず語りの 北の酒 やけにかもめが 騒ぐから今夜は雪に なると言うお店のママの 横顔に恋しお前を 重ねたよこんな俺らを 泣かせる問わず語りの 北の酒 …

  • 春待ち草 – 愛本健二

    どこへ流れて 行く雲か見ればお前の 顔になる雪割り草の またの名を春待ち草と 云うんだよ逢いたいな 逢いたいよお前は俺の 春待ち草だよ いのち燃やした あの夜が今もこころの 夢あかりおとこの頬に 降る雨はなみだの川に なるんだよ恋しいな 恋しいよお前は俺の 春待ち草だよ 俺のことなど 気にせずになっておくれよ 幸せにはぐれて幾つ 年月(としつき)を指折るたびに 遠くなる帰りたい 帰れないお前は俺の…

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