岡ゆう子
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きれいごと – 岡ゆう子
あなたつれなく 雨降る道を帰る背中が 憎らしいきれいごとです あなたの愛は散るもみじうらを見せたり 表を見せて惚れた女を 迷わせる ひとりぼっちに 夢くれたひと熱い情けと しあわせを女ですもの その気になるわいけないの酒のえにしで 生まれた恋は酔いが醒(さ)めれば 終わりなの 逢えば弁天 別れりゃ夜叉にかわる女の この心きれいごとでは 生きられないの今はもう…行こか戻ろか みかえり橋でゆれる女の …
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まだらの夢 – 岡ゆう子
わたしがこの手 放したら喜ぶひとが 一人いるそりゃ出会いが 遅かったこっちの恋が わるいけど惚れてるこころ ちょいとネ なんとする あなたに逢えぬ お休みは寂しさたえる ひとり酒電話するのは たやすいが困った顔が かわいそうわたしは今日も ちょいとネ 貝になる ゴルフも酒も 上手いのに約束だけが 下手なひとどこか温泉 連れてくとあれから三月 もう十日云われりゃわたし ちょいとネ あてにする 夢なら…
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おんなの青空 – 岡ゆう子
過去を捨てたい 男がいれば明日につまずく 女もいるよ酒場という名の 人生港酔いどれカモメと 迷子のカモメそんなに誰かが 恋しいならば最後の青空 探せばいいさ 探せばいいさ 夢を見捨てた 男がいれば愛に溺れた 女もいるよ酒場という名の 人生波止場切ないカモメと 愛しいカモメそんなに何処かに 行きたいならばもう一度青空 飛んだらいいさ 飛んだらいいさ そんなに誰かが 恋しいならば最後の青空 探せばいい…
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女の坂道 – 岡ゆう子
春には散りゆく 夜桜に秋には時雨(しぐれ)に 来ぬ人を心に張りつく 過去(きのう)を剥(はが)しわたしは今を 生きてきた昇(のぼ)り降(くだ)りの 女の坂道 名もない草でも 咲くように小石は拾って あげましょうつまずき転んで 泣きたい時もわたしは明日(ゆめ)に 生きてきた少し振り向く 女の坂道 夏には日傘で 顔隠し冬には小雪の 忍び逢い涙が何処かで 待ち伏せしてもわたしは恋に 生きてきた辿(たど)…
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春待ち鳥よ… – 岡ゆう子
あなた あなた あなた わたし 幸せを夢みたあの頃 初心(うぶ)だった恋の 情け 流れ 散って 躓(つまず)いて愛の意味を 知ったあの時から あなただけが 空を照らす灯台明かりおんな心 翼に抱いて あなたの胸に飛ぶあなたと私は 春待ち鳥よ あなた あなた あなた わたし 愛だけを求めたあの日が なつかしい過ぎる 月日 冬も 坂も 越えて来たふたり花が 咲いたあの時から あなただけが ふたりの空照ら…
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なみだ唄 – 岡ゆう子
夕焼け空見て 泣いていたあれは十五の 寒い春今日も涙が 夕陽に染まる郷里(くに)を離れた この身には心に沁みる 子守唄母に会いたい夜ばかり 高嶺の花でも 野の花も陰に咲いても 花は花母の励ます 便りを胸に今日も堪えた 目に涙優しさ恋し 黄昏(たそがれ)はひとり寂しい 離れ雲 都の水にも いつか慣れ夜の切なさ 越えてきた明日の光を 夢見て一人今日も舞台の 花と咲く心でいつも 手を合わせ母に捧げる な…
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長良川旅情 – 岡ゆう子
思い出たどり 岸辺に立てば波音瀬音 何語る栄枯の姿 たまゆらに映していずこ 流れ行くああ 長良川 水清し 緑も深き いただきに往時(むかし)をしのぶ 稲葉城ふと手に摘みし 草の花運命(さだめ)といえど はらはらとああ 道に敷く 色哀(かな)し 鵜飼いのかがり いつしか消えて鐘の音(ね)侘(わ)びし 旅の宿きのうもきょうも またあすも幾山河(いくやまかわ)を 流れ行くああ 長良川 水青し 人気の新着…
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九州慕情―鹿児島本線― – 岡ゆう子
鹿児島本線 女の旅に小倉太鼓が 切なく響く車窓(まど)は博多の 街灯かり浮かぶ面影 寂しさ募るあなた逢いたい もういちど恋の 恋の名残りを 心に抱いて 夜空に花咲く 筑後の川に愛を失くした 女がひとり明日は火の国 田原坂越えてゆきたい あなたの胸に罪な笑顔が 愛しくて夜に 夜に焦がれる この身が熱い 噂も途絶える 八代あたり風に千切れる 女の情念(いのち)永遠(とわ)を夢見た 鹿児島はどこか似てい…
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九州慕情―日豊本線― – 岡ゆう子
日豊本線 しあわせ求め汽車に揺られる ふたりの旅路杵築 菜の花 通りすぎ暮れる別府に 湯の街あかりついてゆきます どこまでもあなた…あなたひとすじ 命を燃やす 真っ赤な鉄橋 いつしか越えて潮の香りの 延岡の街遠いあの日の 愛宕山好きと言われて あふれた涙夜に煌めく 街並みが今も…今も心に 残っています 苦労もいつかは 笑顔に変わる未来(あす)を祈った 霧島神宮旅の終着 鹿児島で永遠(とわ)を夢見て…
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九州慕情―長崎本線― – 岡ゆう子
長崎本線 別れの旅は鳥栖を後にし 鍋島の夜ふたり淋しく 飲むお酒好きで添えない 運命(さだめ)に沁みる女ごころの 儚さに燃えて 燃えて身を焼く あの日のように 朝陽が昇った 有明海は愛も干潟の ふるさと鹿島やがて諫早 別れ駅そっと呟く さよなら…あなた白いかもめも 背を向けて泣いて 泣いて明日に 飛び立つように 思い出色した ステンドグラス雨の長崎 終着の駅遠く聞こえる 鐘の音(ね)が今は哀しく …