丘みどり
-
涙唄 – 丘みどり
仕事帰りの 地下鉄出たらふいに夕立 どしゃぶりの雨まるで倖せ これ見よがしに傘を開いた ふたりづれ寒いよ 寒いよ 冬はまだなのに…色づき始めた 舗道で濡れながらあたしの人生 何なのか街の灯(ひ) 見上げ 泣く女 髪のしずくを 拭(ふ)きとりながらひとり窓辺で 呑む缶ビール彼に電話を する気もおきず時の速さを 思うだけ寒いよ 寒いよ 外は木枯らしか…色あせ始めた 卒業写真見てあたしの人生 何なのか想…
-
阿武隈・恋慕情 – 丘みどり
翳(かげ)りゆく空の色は遠去(とおざ)かるあなたとの恋寄せては返す想いはいつも私を臆病にしますカタカタと鳴く風に震えて煽(あお)られてツバメはまた次の春を探し彷徨(さまよ)うさよなら 私はもう行くわ二度と出会うことはないわ雪割橋(ゆきわりばし)には想い降り積もる阿武隈(あぶくま)・恋慕情 馬鹿な女と笑って先に惚(ほ)れたこっちの負けあなたの大事な幸せ全部壊してしまいたいのにこの身焦がして燃え尽きて…
-
さだめ燃ゆ – 丘みどり
別れ話を 切り出せぬよにきつくあなたの 唇噛(か)んだしかめたその眼が 死ぬほど好きよ地の果てまでも 連れてってかがり火頼りに 身を寄せる死に場所探しの 旅でいい愛して 愛して 愛しても愛し足りぬと あぁ さだめ燃ゆ 捨てたあの町 あの人達の影がこの胸 ゆさぶる夜は身体(からだ)の奥まで 焼けつくほどのあなたの愛が 欲しくなる安らぐことさえ 叶わない世間に背いた ふたりです求めて 求めて 求めても…
-
椿姫咲いた – 丘みどり
死にたいなんて 思ってたあの頃がいま 懐かしい青くほそった 指と頬(ほほ)熱で燃えているもうすぐ消えてなくなるの最初で最後の 愛を誓った真っ赤な椿ぽろりん、ぽろりんうまいさよなら なんて できるかしら真っ赤なわたし 踊るいのち止まるまで 裾(すそ)ひるがえし椿姫咲いた ここから もひとつ渡る橋ホタルみたいに 消えなくちゃどこか外国(とおく)に 行(ゆ)くふりでなにも知らせずにもうすぐ消えてなくなる…
-
紅花恋唄 – 丘みどり
なみだ落ちるなヨォーひとり畑で 摘む紅の花棘(とげ)の痛みに 操(みさお)を立てて無事の便りを 月山(おやま)に祈るあんた元気で 達者でね出羽(でわ)の旅路は六十里 六十里越え 最上川(かわ)も峠もナァーみんな酒田の 港を目指す北の根雪に おとこの夢を埋もれさせたく 無かったわたしあんた元気で 達者でねひとりぼっちの冬が来る また冬が来る 氷柱(つらら)とけたらヨォーきっと帰ると 知らせを聞けば爪…
-
雪陽炎 – 丘みどり
不実でしょうか 愛していても知られたくない 顔がある凍える肌は 夜ごと燃えるのにこころの仮面は 燃え残るあゝあなた 愛のつぐないはしあわせ手離す 事ですね別れも告げずに 行(ゆ)くことを雪 雪 雪が責めます 夜明け前 後ろめたさに 胸詰まらせて明日(あす)が怖いと 泣いた夜言葉じゃなくて 髪を抱き寄せる無口なあなたの あたたかさあゝ今も 愛の温もりをかじかむこの手が 探してるあなたに戻れる 道は無…
-
Rebirth – 丘みどり
胸に手を当てて ひとり考える歩んだ道に 落したままの後悔をあきらめた夢や 傷つけた人達に許してもらえる 私だろうか神さまが用意した 地図などないのきっと人生は 今を生きる事だから泣きながら 迷いながら それでいいですね結びながら 解(ほど)きながら 生まれ直してゆくけがれなき夢に導かれ 私は 私はもう一度ここから 歩き出すそしていつか あなたの悲しみを背中から包むような 愛を歌えたら 長い暗闇も …
-
楡 – 丘みどり
街角の喫茶店 メニューに楡(にれ)の文字がある苦いコーヒーの名を 楡というらしい 向こうの席では 誰かと誰かがもう会えない 誰かの話する 楡の木の木陰では あの日の二人が今も笑いながら戯(たわむ)れている気がする美しい思い出が ほろ苦い記憶が今は 胸に 甘く 優しく 過ぎてく 古い写真を見れば みんな眩(まぶ)しいものばかりあなたが写してくれた 若かった私 泣くなよと言って 抱き寄せてくれた嬉しい…
-
みどりのケセラセラ – 丘みどり
窓の三毛猫 あくびをすれば見てたこちらもほっこりと ひと休み回り道した分やさしい 人に出逢えるよそやね そやな あくせくしたってしゃあないね風まかせ 恋はほんまに 不思議なものね人の心を盗んでも 叱られぬ懲(こ)りてサヨナラしたそばから 胸が会いたがるそやね そやな ジタバタしたってしゃあないねそれが恋 丸い心も 拗(す)ねれば四角とかくこの世はまんまるく 笑いましょうここで足踏みして泣いても 明…
-
雨のなごり坂 – 丘みどり
夜に咲く 花が散る 坂道にすすり泣くよな 雨が降る恋しくて この心 燃やしても明日(あす)は他人の 雨宿りこれが最後ね ねぇ…あなたなんでこんなに 辛くするあと少し もう少し そばにいたいから離れない…離さない 雨のなごり坂 窓の外 哀しみが 吹き抜けて別れなみだの 朝が来る格子戸に 絡みつく ぬくもりをそっと解(ほど)いて 胸に抱く送る背中に 言いかけたせめて夢なら 逢えますか…愛しても 愛して…