短い一生でした
ぼくはもう死んでいます
母さんありがとう
毎日がしあわせでした
ばあちゃんお元気で
会えなくなるのはさみしい
これからどこへ
ぼくは行くんだろう
絵本で見た天使か
死神のせた馬車か
やってくるものは何
たまに悪い子だったかな
天国に行けるかな
けれども迎えにきたのは
小さな白い一羽のツバメ
お空へ昇るの?
町を見下ろせば
星のように瞬いてる
窓に灯った祈り
そしてぼくは見る
暗いベッドのうえで
明日を待つ子どもらを
明かり映さぬ瞳
力のないくちびる
裸足で走れない心臓
動けない背骨
身体中ぼくをつなぐ
器械を外すまえに
ツバメがついばむだろう
おなかをあけひとつひとつ
父さん泣かないで
ぼくは空っぽになっても
誰かのなかで生きていくんだ
童話の王子は
じぶんを飾った
光放つ宝の石
かなしい人に贈った
ぼくには何も
ないと思ってたけど
たくさん持っていたんだ
ふたつの目はサファイヤ
ハート型のルビーや
息づく宝石をあげるよ
待ってる君に
みんな生まれてきたんだ
ひとりひとりちがう
生きる意味を抱きしめ
やさしさ分け合い
ひとりぼっちじゃないと
信じることができる
ぼくと共に見つめて
ぼくのように笑って
だいじな人へと
いっしょに歌おう
君は何も知らない
だけどぼくは幸福
最後に残った
王子のこころのように
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